改葬とは?メリットから手順・必要となる費用の相場まで徹底解説!
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「家族のお墓が遠くてなかなか足を運べない」など、お墓に関する悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。お墓の悩みを解決できる1つの方法が「改葬」です。
改葬にはさまざまなメリットがあり、改葬をすることで自分のライフスタイルに合ったお墓の管理ができます。
今回は改葬とはそもそも何か、どのようなメリットがあるかを紹介し、具体的な手順や費用相場についても解説します。
目次
1. 改葬とは?
改葬とは、遺骨を現在の墓所から取り出して、新しい墓所へと改めて納骨することです。分かりやすく表現すると、お墓の引越し・移転です。
改葬に関連する言葉には「墓じまい」があります。墓じまいとは、現在の墓所を解体して更地にし、墓所の使用権を墓地の所有者に返還することです。
改葬は、墓じまいをした上で、新しい墓所に遺骨を納めるまでの一連の流れを指します。墓じまいをしたものの、遺骨を手元供養したり散骨したりする場合は、改葬とは呼びません。
改葬は下記に挙げるように、いくつかのパターンがあります。
● 元の墓石は撤去、遺骨だけを移動して、改葬先の墓所に新しい墓石を建てる
● 元の墓石は撤去、遺骨だけを移動して、納骨堂に納める
● 遺骨と墓石をまとめて移動する
● 遺骨の一部のみを新しい場所に移動し、墓石も新設する(分骨)
遺骨や墓石をどうしたいか、改葬の予算はいくらくらいかを把握して、自分に合うパターンを選びましょう。
1-1. 改葬が増えている理由
近年、改葬をする方は徐々に増加していて、2019年には全国の改葬件数が12万件を超えました。
年度 | 改葬件数(全国) |
---|---|
2017年 | 104,493件 |
2018年 | 115,384件 |
2019年 | 124,346件 |
2020年 | 117,772件 |
2021年 | 118,975件 |
改葬が増えた主な背景には、日本の少子高齢化があります。
近年は少子高齢化によってお墓の継承者が少なくなり、一家族や高齢者の方のみでお墓を管理するケースが増えました。お墓を管理しやすくする方法として、改葬を選ぶパターンが増えています。
また、お墓や供養についての考え方も変化し、お墓の管理しやすさやお墓参りの快適性が求められるようになっています。より供養しやすいお墓の形態を考える方が多くなっている点も、改葬が増えている理由の1つです。
2. 改葬をする3つのメリット
大切なお墓を移転する改葬は、本当に実行していいかをよく検討する必要があります。現在の墓所にどのような悩みを抱えているかを明確にした上で、改葬で悩みが解決できるかを考えて、改葬すべきかどうかを決めましょう。
以下では改葬をする3つのメリットを挙げて、それぞれどのような利点があるかを解説します。
2-1. メリット(1)利便性の高い場所にお墓を移せる
お墓はもともと縁のある土地に建てられることが多く、中には交通に不便な場所にお墓があるケースもあります。地元から引越しをした人であれば、車を何時間も運転しなければお墓参りができないこともあるでしょう。
改葬をすると、自宅の近くやアクセスのよい土地など、利便性の高い場所にお墓を移せます。日常的にお墓参りがしやすくなり、故人をより身近に感じられる点がメリットです。お墓の管理が簡単にできて、子どもにお墓参りのやり方を教える機会も増やせます。
2-2. メリット(2)継承者不要で無縁墓になるのを防げる
お墓を管理している方の中には、お墓の継承者をどうすればよいかで悩んでいるケースもあるでしょう。
お墓を継承してくれる子どもがいなかったり、子どもがいても継承できなかったりなど、お墓の継承者問題は大きな悩みです。次の世代になって継承者がいなくなり管理されなくなったお墓は、最終的に「無縁墓」となってしまいます。
お墓の継承者問題に悩んでいる場合は、改葬の際に永代供養可能な墓所を検討しましょう。
永代供養とは、遺族に代わって霊園や寺院がお墓の維持管理を行う供養方法です。永代供養で改葬をすれば継承者不要となり、お墓が無縁墓になるのを防げます。
2-3. メリット(3)お墓にかかる後継者の負担を軽減させられる
お墓の管理では墓地の使用料や管理費など、多くのお金を霊園・寺院に支払う必要があります。今までは費用を問題なく支払っていたものの、年齢を経るごとに費用負担が大きく感じられる方は多いのではないでしょうか。また、遠方のお墓の管理など、後継者に負担が生じているケースも多くみられます。
改葬をする過程で、お墓にかかる費用を検討する機会が作れます。永代供養を選択したり、納骨堂を利用したりといったお金のかかりにくい方法を選択すれば、お墓にかかる費用も含め、後継者の負担を軽減することが可能です。
3. 改葬の具体的な手順・流れ
改葬を実行する際は、改葬の手順を知り、計画的に進めることが大切です。
改葬の具体的な手順・流れを7つのステップに分けて説明します。
(一般的な仏式の場合)
【STEP1:親族や墓地管理者と相談する】
最初に、改葬を検討していることを親族や現在の墓地管理者と相談しましょう。改葬を一方的に決定すると、関係者間でのトラブルに発展する可能性があるため注意してください。
【STEP2:改葬先を決めて、受入証明書を発行してもらう】
改葬を行うには、改葬先となる墓所を決める必要があります。自分が良いと思う場所であることはもちろん、改葬を受け入れてくれる霊園や寺院を選びましょう。
改葬先の決定後は、改葬先に受入証明書を発行してもらいます。
【STEP3:自治体から改葬許可申請書を受け取る】
現在の墓所がある自治体で改葬許可申請書の用紙をもらいましょう。
改葬許可申請書とは、改葬許可証の受け取りに必要な書類です。
【STEP4:現在の墓地管理者から埋葬証明書を発行してもらう】
次に、現在の墓地管理者から埋葬証明書を発行してもらいます。
埋葬証明書は、遺骨が墓地内に埋葬されていることを証明する書類です。
【STEP5:自治体から改葬許可証を受け取る】
受入証明書・改葬許可申請書・埋葬証明書の3点を自治体に提出し、改葬許可証を受け取ります。
なお、自治体によっては改葬許可証の交付に手数料がかかるケースもあります。
【STEP6:遺骨を取り出し、墓石の撤去をする】
改葬許可証の受け取り後に、現在の墓所から遺骨を取り出して墓石の撤去をします。
遺骨を取り出す際は、お墓から魂を抜く閉眼供養(魂抜き)という儀式も行います。
【STEP7:改葬先の墓地管理者に改葬許可書を提出し、納骨する】
改葬先の墓地管理者に改葬許可証を提出し、新たな墓所に納骨します。
納骨の際は、お墓に魂を入れる開眼供養(魂入れ)という儀式を行います。
以上の7ステップで、改葬は完了です。
4. 改葬に必要となる費用の内訳と相場
改葬に必要となる費用は、現在のお墓の規模や改葬方法、新たな納骨先によっても大きく異なります。自分が管理しているお墓の場合、改葬の相場はいくらになるかを大まかにでも把握しておきましょう。
以下では、遺骨のみを移転する一般的な改葬パターンについて、費用の内訳と相場を解説します。
4-1. お墓の処分・撤去にかかる費用
現在のお墓の処分・撤去には、下記のような費用がかかります。
地域差がありますので、あくまでも参考としてご確認ください。
費用項目 | 費用の相場 |
---|---|
遺骨の取り出し | 約3万~4万円 |
閉眼供養 | 約3万~5万円 |
墓石撤去・区画整備 | 1平方メートルあたり約20万~30万円 |
離檀料 | 約5万~20万円 |
合計 | 約30万~60万円 |
中でも費用が高い項目は、「墓石の撤去」と「離檀料」です。
墓石の撤去では、お墓の規模が大きく重機を使用したり、狭い場所で撤去作業が難しかったりする場合に費用が高くなる可能性があります。
離檀料は、寺院の檀家をやめる際に、今までのお礼として支払うお金です。寺院によっては離檀料の額を決めているケースがあるため、事前に寺院側に確認しましょう。
4-2. お墓を新たに建てるためにかかる費用
改葬先でお墓を新たに建てる場合は、下記の費用がかかります。
費用項目 | 費用の相場 |
---|---|
遺骨の納骨 | 約3万~4万円 |
開眼供養 | 約3万~5万円 |
墓石代 | 約100万~300万円 |
整地費用 | 約10万~30万円 |
土地の永代使用料 | 約100万~200万円 |
合計 | 約230万~450万円 |
墓石代の費用が大部分を占めていて、選ぶ墓石の種類や大きさによっては合計の金額も大きく左右されます。
費用を抑えたい場合は、墓石を建てる一般墓ではなく、永代供養墓を利用できる納骨堂への改葬も検討しましょう。納骨堂の費用相場は、70万~90万円程度です。
ロッカー式や、仏壇式、自動搬送式など様式や立地によって異なるため、価格だけではなく、その後の参拝しやすさも考えて検討することをおすすめします。
4-3. 諸手続きにかかる費用
改葬に伴う諸手続きにかかる費用は、下記の通りです。
費用項目 | 費用の相場 |
---|---|
受入証明書 | 0円~約1,500円 |
埋葬証明書 | 0円~約1,500円 |
改葬許可証 | 0円~約1,000円 |
合計 | 約0円~4,000円 |
改葬先によっては、改葬に伴う事務手続きで事務手数料が発生するケースもあります。
まとめ
お墓を新しい墓所へと移転させる「改葬」には、お墓を利便性の高い場所に移せるなどのメリットがあります。改葬は手順が複雑であるものの、ポイントを押さえておけばスムーズに進められるでしょう。
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