5Fエレベーターホール前
2023年5月グッドデザイン賞 受賞
フロント・ロビー
本物の素材と技が交差するエントランス
建物の中でまず人々をお迎えするのは、重厚な玄武岩の受付カウンターと四季折々の装飾花。表情豊かな研磨・加工により、現代彫刻を思わせる天然石のカウンターの存在感と、四季の彩りの中に凛とした美しさをまとう花々が美しい対比を見せ、訪れる方の心を故人様の元へといざないます。
吹き抜け
心を静め安らぎをもたらす吹抜け
館内の3・4階、5・6階に設けた吹抜けは、重厚な空間にほっとする軽やかさをもたらし、静謐な館内に心地よい開放感を生み出します。
精妙な組子細工を通して間接光が降り注ぐこの空間には、参拝される方々の心を、安らぎと落ち着きのうちにお迎えしたいと願う、了聞の想いが息づいています。
石造りの滝
鎮魂の想いをお伝えするために
かつて池があったというこの地の記憶を受け継ぐために、玄関脇から外苑西通りとの境界にかけて、心地よい水音をたてるせせらぎと小さな滝を設けました。土地の歴史に根ざした清らかな流れは、人が心に抱く故郷の記憶を呼び覚ますことでしょう。それはまた、了聞と皆様を結ぶ縁の源流でもあるのです。
応接間
ゆったりと心を包み込む応接間
館内に設けた応接間は、会員の方々すべてに開かれた自由空間。ご自宅の延長のようにゆったりとくつろいでいただけます。ご参拝の待ち合わせやご相談はもとより、ちょっとした考えごとのまとめや読書、ご家族やご親族との語らいなどに、幅広くご活用ください。
了聞の館内をご案内いたします
ARCHITECT
選ばれた本物の集合体、それが「了聞」
めまぐるしく変化する時代の中で、変わらない価値をお伝えするために、了聞がこだわったのは「本物であること」。
無有建築工房を主宰する竹原義二氏が手掛けた唯一無二の空間の中で、
建築家が自ら選び抜いたこだわりの素材と技が、訪れた方々を静かに出迎えます。
建築家
竹原 義二
1948年徳島県生まれ。
建築家石井修氏に師事した後、1978年無有建築工房設立。
すべては無に始まり有に還る「無有」のコンセプトを掲げる。
2000〜13年大阪市立大学大学院生活科学研究科教授。
2015〜19年摂南大学理工学部建築学科教授。
30余年の設計活動の中で、
住宅を中心に180を超える作品を手掛け、
日本建築学会賞教育賞・村野籐吾賞・都市住宅学会業績賞・
こども環境学会賞など多数受賞。
こだわりの全国から集められた素材たち
全国から集められた素材たち
了聞の館内には石材をはじめとする、多数の素材が使われています。
一つひとつ丹念に選ばれた素材は、建築空間の印象を大きく左右するだけでなく、
時とともに表情を変え、それぞれの真価を浮かび上がらせます。
竜山石(たつやまいし)
太古から現代まで兵庫県高砂市で採掘が続く希少な石材。素朴な中に気品ただよう表情が、心に安らぎをもたらします。了聞では参拝室に組み上げられています。
庵治石(あじいし)
受付の壁面をおおうのは、彫刻家イサム・ノグチが愛用した「御影石のダイヤモンド」庵治石。彼の作品を生んできたアトリエが、壁面デザインも手掛けています。
玄武岩(げんぶがん)
受付カウンターには、深い地殻の記憶を秘めた約3トンの玄武岩を採用。各面に施された研磨と加工の数々が、彫刻作品を思わせる重厚さを生み出しています。
歳月が磨きあげた職人たちの技
素材が持つ美しさ、確かな存在感を引き出すのは、歳月の中で磨きあげられた匠たちの技です。
それぞれの素材に注がれた職人たちの想い、その大胆で繊細な手仕事の結晶が、
了聞の館内を美しい輝きで満たしています。
漆喰(しっくい)
各フロア・参拝室の壁面には、堅牢性と仕上がりの美しさで知られる土佐漆喰を随所で用いました。時とともに美しく磨かれ、空間の静謐さを引き立てます。
浮造り(うづくり)
針葉樹の柔らかな部分を磨き、木目部分を浮かび上がらせる伝統技法です。職人の手彫りによる凹凸とともに、経年変化によって美しい光沢をたたえます。
左官(さかん)
館内の壁面は、左官仕上げを基本としました。とりわけロビー奥の壁面には、職人たちのコテによる模様と濃淡、手のひらで磨き込まれた光沢が、深い表情を生み出します。
緑青(ろくしょう)
1階エレベーターホールの壁面を彩るのは、緑青と呼ばれる酸化銅の文様。均一で美しい発錆(はっせい)は至難の技ですが、その神秘的な色彩は息をのむ美しさです。
建築家の審美眼が選んだ意匠の数々
荘厳な空間にアクセントを添えるのは、国内外から選ばれたデザインの数々。
洗練された伝統意匠から、現代感覚あふれるモダンデザインまで、
新旧・和洋の枠にとらわれず、建築家の審美眼に基づいて選び抜いています。
組子
組子とは、釘を使わずに木を組み込む木工技法。飛鳥時代から受け継がれた繊細な手の技を生かし、時代の枠にとらわれない自由なデザインに結実させました。
単板張り
ロビー壁面は、スライスしたイタリア産広葉樹の根を、黒く変色した化粧板と張り合わせた単板張りで仕上げました。一枚一枚異なる意匠が独特の雰囲気をもたらします。
窯変釉タイル
2階以上のエレベーターホールの壁を飾るのは、多数の窯変釉タイル。表面に刻まれたスクラッチの陰影と、流し込まれた釉薬の光沢が趣ある表情を生み出しています。
ガラスパーティション
駐車場から1階ロビーへと続く階段脇の間仕切りは、一枚の大きなガラス板を細く切り出し積み上げたもの。微妙な揺らぎを見せる光の柔らかさに、職人の技が光ります。
インテリアに息づく巨匠たちの美学
本物へのこだわりは、館内の随所に置かれた世界の名作インテリアにも貫かれています。
革新的でありながら普遍的な美しさへの志向はそのまま、
新しい文化を未来へと紡ごうとする了聞の想いに重なります。
北欧が生んだ温もりの光
柔らかさの中に深い陰影をたたえるルイス・ポールセンの照明器具。「家の中を豊かに過ごす」という北欧文化の伝統が、鎮魂の場を優しい輝きで満たします。
「家具の彫刻家」の傑作たち
エントランスのチェアやソファなどは、「家具の彫刻家」フィン・ユールの作品。独特な造形と繊細なディテールのうちに、高い快適性・機能性を備えた逸品です。
イサム・ノグチの美意識
1階ロビーを占めるのは、20世紀を代表する彫刻家、イサム・ノグチのガラステーブル。有機体を思わせる美しいフォルムが、空間に深い落ち着きをもたらします。
名作チェアの確かな存在感
瑞華院本堂のチェアは、世界的な家具デザイナーハンス・J・ウェグナーの作品。端正な意匠と高度な職人技がもたらす確かな存在感が、人々を魅了します。