寿陵とは?生前にお墓を建てるメリット・注意点や建てる流れも

お墓
2024.03.01
寿陵とは?生前にお墓を建てるメリット・注意点や建てる流れも

「寿陵」という言葉に耳馴染みがない方もいるでしょう。寿陵とは、生前に自分や家族のためにお墓を建てることを指し、生前墓とも呼ばれます。古くは中国からはじまり、日本でも長く続くこの風習は、長寿や子孫繁栄を招くとされ、終活の一環としても注目されているお墓です。

当記事では、寿陵の起源や特徴、寿陵を選ぶメリットと注意点、そしてお墓を建てる際の流れについて解説します。寿陵への理解を深め、自分や家族のための大切な選択を考える一助となれば幸いです。

1. 寿陵とは?

寿陵とは、生きているうちに自分のため、または家族のために建てるお墓のことを指します。いわゆる「生前墓」です。この習慣は、「立つ鳥跡を濁さず」という思想にも通じ、残される家族の負担を軽減する役割を果たしています。

日本では古くから行われており、聖徳太子が生前に自分のお墓を建てたという記録も残っている風習です。現代では終活の一環として、「自分が健康でいられるうちに」と自分の好みのデザインや立地を選んでお墓を建てる方が増えています。

なお、寿陵は年齢に関わらず建てることが可能です。次に、寿陵の起源と歴史、特徴について掘り下げて解説します。寿陵の歴史的背景と特徴を理解し、寿陵がもつ意義や価値をより深く感じ取れれば、自分や家族に最適なお墓の形を選ぶ判断材料の1つとなるでしょう。

1-1. 寿陵の起源と歴史

寿陵の起源は、中国にあります。中国では、生前にお墓を建てることが長寿や子孫繁栄を招く縁起のよい行為とされていました。特に、皇帝たちは生前に自分の墓を建てる習慣があり、始皇帝の陵墓などは世界遺産にも登録されているお墓です。

この中国の伝統は日本にも伝わり、歴史上の人物として知られる聖徳太子が自分のお墓を生前に建てたと伝わっています。寿陵の「寿」は長寿や長命を意味し、日本語で「ことぶき」と読む際には祝事を表す字です。「陵」は中国で古くから「皇帝の墓」を指す字として使われてきました。

また、仏教では生前に自分の位牌やお墓を準備し法事を行う「逆修」は大きな功徳とされ、幸福を招くと考えられています。そのため、日本でも縁起のよさや幸福を象徴する文化として、さまざまな形で現代まで受け継がれてきました。

1-2. 寿陵の特徴

寿陵の特徴は、存命者の名前と戒名が朱色で刻まれる点です。

ただし、朱色が使用されるのは現在生きている方の名前だけです。「先祖代々之墓」や「南無阿弥陀仏」といった文言や、すでに亡くなっている方の名前を刻む際は、通常通り白や中抜き文字などが使用されます。

他には大きな差がなく、一般的なお墓と並べても際立って目立つことはありません。朱色で刻まれた名前は、当人の没後白などに塗り替えられます。

2. 寿陵のメリット2つ

寿陵を建てることには、さまざまなメリットがあります。特に、家族にとっての心配事を減らし、自分自身が納得のいくお墓を実現できることが、寿陵の魅力です。

これらのメリットを理解することで寿陵に対する理解が深まり、より適切な終活の選択ができるようになるでしょう。

ここからは、寿陵を選ぶ2つのメリットをそれぞれ詳しく解説します。

2-1. 残される家族の負担を軽減させられる

寿陵を選ぶと、残される家族の負担を軽減することが可能です。

生前にお墓を準備しておけば、遺された家族は故人が亡くなった後、お墓の場所や費用について悩む必要がなくなります。さらに、故人の希望に沿ったお墓がすでにあるため、「どのようなお墓に入りたかったか聞いておけばよかった」という後悔をすることもありません。

また、お墓や墓地といった祭祀財産は相続税の非課税財産とされているため、生前に購入しておくことで 相続税対策としても有効です。相続税が課税されないため、家族が支払う税金を減らすことが可能になります。このように、寿陵という選択肢には、家族にとって精神的・経済的な負担を軽減するメリットがあります。

2-2. 自分好みのお墓を建てられる

自分が望む形のお墓を選べる点も、寿陵のメリットです。自分が生涯を閉じた後、長い時間を過ごす終の棲家を、好きな場所に、望むデザインで建てられます。

墓地や墓石を自分の好みに合わせて選ぶだけでなく、樹木葬や散骨など、供養の方法も多様です。さらに、ペットと同じお墓に入るといった選択も可能です。

生前墓は、人生で一番最後に自分らしさを実現する手段と言えるでしょう。気に入ったお墓を用意してあるという安心感は、最期を迎える上でも大切なポイントとなります。

3. 寿陵の注意点2つ

寿陵には多くのメリットがありますが、いくつか注意すべき点も存在します。寿陵を選ぶ際は、家族とのコミュニケーションが重要であるほか、選べる霊園が限られることも理解しておかなければなりません。これらの点を考慮することで、よりよい選択が可能となるでしょう。

ここでは、寿陵を選ぶ際の注意点を2つ解説します。

3-1. 子世代に納得してもらう必要がある

寿陵を選ぶ際には、子どもたちからの納得を得ることが最も重要です。理由としては、まず、お墓へのアクセスが挙げられます。家族が暮らす場所から遠く、お墓参りが困難な場所に建てると、お彼岸やお盆の際に負担が大きくなってしまうためです。

また、年間管理料が発生することも考慮しなければなりません。生前に建てたお墓の維持費は、自分が亡くなった後に家族が負担することになります。墓じまいが必要な場合も、追加の費用が発生します。お墓によっては、撤去に数十万円以上かかるケースも珍しくありません。

さらに、お墓のデザインについても、子世代や孫世代が入る可能性を考慮し、家族全員が納得できるデザインを選ぶことが大切です。これらの点を事前に家族としっかり話し合い、合意を得ることが、寿陵を選ぶ際の重要なステップです。

3-2. 霊園によっては寿陵墓を建てられない場合がある

すべての霊園が寿陵墓を受け入れているわけではない点にも注意が必要です。

特に、市区町村が管理運営する公営墓地を選ぶ場合、募集要項をよく確認し、生前墓が建てられるかを事前に問い合わせる必要があります。多くの公営墓地では、すでに遺骨があることが条件とされており、生前墓の建設が認められていないケースが多いためです。

確実に寿陵墓を建てたい場合は、遺骨がない状態でも契約できる納骨堂などがおすすめです。

4. 【5STEP】寿陵墓を建てる際の流れ

寿陵墓を建てる際の流れは、次の通りです。

【STEP1】情報収集
まずは、寿陵を建てる墓地を探します。公営墓地以外なら受け付けているところが大半です。墓地の情報を集めたら実際に見学して見積もりを出してもらいましょう。予算と照らし合わせつつ、アクセスのよさも確認することが大切です。

 

【STEP2】墓地決定・契約
気に入った墓地が見つかったら、契約を行います。契約時には、お墓の価格や年間管理費に注意し、契約書の内容を確認しましょう。この時点で不明点や疑問をすべて解消しておけば、後々トラブルになりません。

 

【STEP3】デザイン決定
お墓の形や刻む文字、飾りの彫刻についても納得がいくまで打ち合わせ、最終的なデザインが決まったら価格が決定します。

 

【STEP4】納期決定・施工開始
納期を石材店と相談し、施工開始の日程を決めます。生前墓のため納期は柔軟に設定できますが、特定の日に建立式を行いたい場合は相談が必要です。

 

【STEP5】寿陵墓の建立
新しいお墓には白い布が巻かれています。石材店の立ち合いのもと、仕上がりが確認できたら寿陵墓の完成です。通常はお墓の完成とともに納骨式と開眼供養を行いますが、寿陵墓の場合は後からでも問題ありません。ただし、開眼供養には費用がかかるため、後々家族にかかる負担を考えるのであれば寿陵墓の建立時に済ませておくのがおすすめです。

まとめ

寿陵は、自分や家族のために納得のいくお墓を、自分の手で準備できる上、家族の負担を軽減するメリットがあります。しかし、自分がいなくなった後、実際にお墓に参ったり管理したりするのは、子どもや孫の世代です。

寿陵を検討する際は、遺された家族がどのようにお墓と関わっていくかも考慮した上で、慎重に判断しましょう。お墓を建てることは、決して簡単な決断ではありません。家族とのコミュニケーションを通じて、自分たちのお墓をどのようにするか一緒に考えながら決めることをおすすめします。

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