海洋散骨とは?基本マナー・主な種類・散骨の流れを紹介!

お墓 納骨
2024.06.14
海洋散骨とは?基本マナー・主な種類・散骨の流れを紹介!

この記事を書いた人

運営部主任 小林 雄志

葬儀・供養業界経験者。複数の霊園・納骨堂での勤務経験あり。
取得資格:終活コンシェルジュ

近年、伝統的なお墓への埋葬とは異なる供養の方法として、「散骨」の注目度が上がってきました。核家族化や少子高齢化、価値観の多様化が進む中で、自然に還す散骨は新しい埋葬の選択肢として人気を集めています。特に、大海原に遺骨を散布する「海洋散骨」は、多くの方に選ばれている方法です。

実際に散骨を選んだ場合、遺族が直面する問題やルール・マナー、費用についてよく分からないという方も多いでしょう。当記事では、海洋散骨の基本情報から流れや費用相場まで、把握しておきたい知識を一通り紹介します。

1. 海洋散骨とは

海洋散骨とは、火葬後の遺骨を粉末状にして海に撒く供養方法です。故人が生前に海を愛していた場合や自然に還りたいという願いを持っていた場合、あるいはお墓を持てないさまざまな事情がある方に選ばれています。

海洋散骨では墓石を設けず、大海原に散布することで自然に還すという点が特徴です。海が見える場所であれば、世界中のどこでも故人を偲べるとして人気が高まっています。散骨する際は、海岸ではなく船やヘリコプター、セスナ機などを使って沖合で行うのが基本です。

1-1. 海洋散骨が注目されている理由

海洋散骨が注目される理由の1つは、経済的負担の軽減です。

日本では伝統的に墓地に墓石を建立する習慣がありますが、永代使用料や墓石の代金といった大きな出費が伴います。加えて、葬儀費用も重なるため、経済的負担は小さくありません。

海洋散骨は、これらの費用に比べて相対的に安価で、平均すると20万~30万円程度の出費で済みます。

もう1つの理由は、後継者問題の対策です。核家族化や少子高齢化の進行、都市部の墓不足などの社会背景により、お墓を継承する人がいない、または子どもや孫に負担をかけたくないと考える方が多くいます。

そして、3つめの理由が故人や遺族の希望です。近年では、遺族が揃って故人の旅立ちを見送れる海洋散骨のセレモニーも注目されつつあります。故人や遺族の希望でセレモニーとしての海洋散骨を行う場合、海に散布する遺骨は一部のみとなります。

海洋散骨であれば墓守の必要がなく、周囲に迷惑をかけることなく終活を行えることから、セレモニーとしての海洋散骨を選ぶ方が増えてきました。

2. 海洋散骨は法律的に問題ない?

散骨に関する特別な法律や規定はなく、海洋散骨自体に違法性はありません。法務省は、散骨が適切に行われる限り遺骨遺棄罪には当たらないとの見解を示しています。しかし、これはどこでも自由に散骨できるという意味ではありません。

厚生労働省が定めるガイドラインでは、散骨は特定の場所で行う必要があると明示しています。

また、地域住民や周辺の漁業者等の利益、宗教感情への考慮、自然環境への配慮も必要です。海洋散骨は法律的には問題ありませんが、マナーを守って行うことが重要です。

(出典:厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」/https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf

2-1. 海洋散骨の基本マナー

海洋散骨を行う際は、下記の基本マナーをおさえておきましょう。

●遺骨の粉骨化
散骨を行う際は、遺骨として識別できないよう1~2mm程度に砕かなければなりせん。遺骨の形状を残したまま撒くと、遺体遺棄罪に該当する恐れがあるためです。自分で行っても違法ではありませんが、予期せぬトラブルを避けるためにも専門業者に依頼することをおすすめします。

●散骨場所・関係者への配慮
散骨場所として海水浴場や観光地、漁場や養殖場の近くはトラブルに発展する可能性が高く、避けるべきです。条例で散骨を禁止している地域もあるため、事前に確認しましょう。他の乗客のいる客船からの散骨も避けなければなりません。

●自然環境への配慮
副葬品も撒く場合は、自然に還るもののみに厳選しましょう。たとえば、お酒やお花などです。プラスチックやビニールなどの自然に還らないものは避けてください。

これらのマナーを遵守すれば、故人への敬意を表しつつ、同時に自然環境や他者への配慮も示せます。海洋散骨は、環境や周囲への影響を最小限に抑えることが大切です。

3. 海洋散骨の主な種類|種類ごとの費用相場も

海洋散骨には提供する会社によってプランや種類が異なり、それぞれサービスの内容や費用相場にも差があります。海洋散骨の主な種類は、貸切散骨・合同散骨・委託代行散骨の3つです。

ここでは、海洋散骨の種類ごとに概要や費用相場を解説します。それぞれの特徴と費用相場を把握して、希望と予算に合ったプランを選びましょう。

3-1. 貸切散骨(個別散骨)

貸切散骨(個別散骨)は、船を一艘貸し切り、家族や親しい人だけで行う海洋散骨のプランです。他のグループに気兼ねすることなく、プライベートな空間でセレモニーを行えるのが大きな特徴です。乗船人数は事業者により異なり、少人数から50名以上の大規模なグループにも対応できます。

貸切散骨では、日時の調整がしやすいのも利点の1つです。参加者の人数や船の大きさによって費用相場は異なりますが、おおよそ15万円~35万円程度です。親しい人たちと故人を偲ぶ時間を大切にしたい方に適したプランと言えます。

3-2. 合同散骨

合同散骨は、複数の家族が一艘の船に乗り、ともに海洋散骨を行うプランです。散骨ポイントでのセレモニーは、1グループずつ個別に行うのが一般的です。1組当たりの乗船可能人数は少なめに設定されている傾向にあります。

費用相場は約10万~20万円程度となっており、貸切散骨よりは手頃です。静かに故人を偲びたい方や、コストを抑えて散骨を実施したい方に適しています。

3-3. 委託代行散骨

委託代行散骨は、遺族に代わって事業者のスタッフが散骨を行うプランです。散骨の様子は写真に収められ、散骨地点の緯度や経度、時間などを記載した散骨証明書が遺族に提供されます。

遺族が直接参加しないことで乗船人数が抑えられるため、費用相場は4万~10万円程度と他プランに比べて安価です。船が苦手な方や乗船が難しい方、また予算の制約がある方に適しています。

4. 海洋散骨がおすすめな方の特徴

海を愛する方、海での思い出を大切にされている方には、セレモニーとしての海洋散骨とともに、日常的にお参りできる墓所を一緒に検討することで、日常と非日常の両方で、故人を供養することができます。

【海洋散骨がおすすめな方の特徴】
海を愛する方、海での思い出を大切にされている方には、セレモニーとしての海洋散骨とともに、日常的にお参りできる墓所を一緒に検討することで、日常と非日常の両方で、故人を供養することができます。

● 海を愛する方、海での思い出を大切にされている方
● お墓の後継者がいない方

海を愛する方にとって海洋散骨は、生前の想いを反映させやすい散骨方法です。また、後継者がいない方には、無縁仏となる心配がない海洋散骨が理想的です。

上記の特徴に当てはまる方は、海洋散骨をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

5. 【5STEP】海洋散骨の流れ

海洋散骨の一般的な流れは、以下の通りです。

【STEP1】相談・見積もり
まず、海洋散骨を行う葬儀社や散骨事業者に問い合わせを行います。散骨の希望日や乗船・散骨場所、料金などの情報を確認し、家族との話し合いを経て、最適なプランを選びましょう。複数の業者から見積もりを取ることが大切です。

【STEP1】相談・見積もり
まず、海洋散骨を行う葬儀社や散骨事業者に問い合わせを行います。散骨の希望日や乗船・散骨場所、料金などの情報を確認し、家族との話し合いを経て、最適なプランを選びましょう。複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
【STEP2】申込み
必要な書類(散骨申込同意書・粉末化依頼同意書・埋葬許可証など)を用意し、申込みを行います。業者によっても必要な書類が異なるため、必ず確認しましょう。書類に不備がなく、料金の支払いが完了すれば契約成立です。
【STEP3】遺骨の引き渡し
遠方の場合は郵送で、近場であれば直接葬儀社や散骨業者に遺骨を引き渡します。骨壺の発送方法には制限があるため、事前に確認しておかなければなりません。
【STEP4】粉骨
遺骨は粉骨され、1mm~2mm程度の粉状に加工されます。業者によっては遺族が粉骨に立ち会うことも可能です。
【STEP5】散骨当日
散骨当日は乗船所に集合し、天候や海況に問題なければ注意事項の説明を受けた後出航します。散骨ポイントに到着後はセレモニーを行い、遺骨を海に散布したら帰港して解散です。

海洋散骨当日は、故人との最後のお別れとなるセレモニーが中心です。ご遺骨の散骨に続き、花びらや故人が好きだったお酒などを献じ、黙祷を捧げます。海域を一周して故人に最後のお別れをし、その後は定期的に供養を行う流れが一般的です。プランによっては、散骨後に船内や地上の会場で会食を行う場合もあります。

以上で海洋散骨は終了です。遺族が参加する場合でも、業者が代行する場合でも、全体の大きな流れは変わりません。

まとめ

海洋散骨は、遺骨を粉骨し海に撒くという供養方法で、海を愛する方だけでなく、お墓の費用を抑えたい方やお墓の後継者がいない方にも人気があります。海洋散骨は、遺骨を海に撒くという一見シンプルな供養方法ですが、実施する際には入念な注意が必要です。

法律で厳格な定めがないため、葬儀社や散骨業者はもちろん、遺族側も高いモラルをもって行わなければなりません。故人に気持ちよく旅立ってもらうためにも、散骨する海域周辺に住まう方々とトラブルを起こさないよう、細やかな配慮のもとで実施しましょう。

CONTACT
ご見学の予約・資料請求・お問い合わせはこちらから
icon-mail問い合わせ・資料請求