樹木葬とは?費用相場からメリット・デメリットまで徹底解説!

葬儀
2025.06.26
樹木葬とは?費用相場からメリット・デメリットまで徹底解説!

この記事を書いた人

運営部主任 小林 雄志

葬儀・供養業界経験者。複数の霊園・納骨堂での勤務経験あり。
取得資格:終活コンシェルジュ

葬儀の形や遺骨の埋葬方法は、時代の流れとともに選択肢が増えています。お墓の管理の手間や家族への負担も考えて、一般墓から他の埋葬方法を選択する方も増えています。

納骨堂や樹木葬も人気の埋葬方法の1つです。故人や自分のお墓をどうするか悩んでいる方は、まずは気になる埋葬方法について知識を深めた上で、考え方や予算に合うスタイルを選びましょう。

今回は、樹木葬の概要と具体的な種類、費用相場について詳しく解説します。メリット・デメリットにも触れるため、ぜひ参考にしてください。

1. 樹木葬とは?

樹木葬とは、シンボルツリーとなる樹木の周りに遺骨を埋葬する自然葬の1つです。シンボルツリーには、桜・ハナミズキ・紅葉などが用いられます。寺院や霊園によっては、パンジーやバラなどの草木や芝生を植えることも可能です。

樹木葬は、1999年に岩手県一関市の祥雲寺(現:知勝院)に設置されたのが始まりです。樹木葬の歴史は浅いものの、自然志向の方やお墓の継承問題に悩む方を中心に需要が高まっています。

遺骨を直接土に埋葬した場合、時間をかけて自然に還ります。ただし、寺院や霊園によっては骨壺のまま埋葬することもあるため、必ずしも自然に還るとは言えません。樹木や植物の種類が制限されることもあるため、あらかじめ規約を確認しておきましょう。

2. 樹木葬の主な種類

樹木葬と一口に言っても、立地面や環境面、埋葬方法によっていくつかの種類に分けられます。樹木葬に興味がある方は、まずは種類別に特徴をチェックしておきましょう。

ここでは、樹木葬の主な種類を「立地別」「埋葬方法別」に詳しく解説します。

2-1. 「立地別」の種類3つ

樹木葬は、立地や環境によって以下の3つに分けられます。

●里山型
里山型の樹木葬は、山林に直接遺骨を埋葬する方法です。遺骨を埋葬できるのは墓地の許可を受けている山林に限られます。広い土地を確保する必要があるため、都市部には少なく郊外に多いことが特徴です。

遺骨を埋葬して新しく樹木を植えるケースと、自生している樹木の周辺に遺骨を埋葬するケースがあります。火災を防ぐために、お参りでは線香やロウソクの使用を禁止している場合がほとんどです。

●都市型(公園型)
都市型の樹木葬は、寺院や霊園の区画内に設けられた専用エリアに納骨する方法です。シンボルツリーや草花の周辺に遺骨を納めます。自然豊かで開放的な雰囲気の中にあるため、公園型樹木葬と呼ばれることもあります。

ほとんどが郊外に設置されており、アクセスが良くお墓参りをしやすいことも特徴です。故人の名前を記す墓誌を設置している寺院や霊園もあります。

●庭園型
庭園型の樹木葬は、決められた区画に遺骨を埋葬し、周辺に樹木や草花を植えて庭園のように整える方法です。草木で彩る日本庭園風やバラをシンボルとしたイングリッシュガーデン風など、さまざまなスタイルがあります。デザイン性に優れており、美しい空間が広がっていることが特徴です。

広い土地を必要としないため、都市部中心に多く見られます。環境整備が整っており、四季折々の木々や草花を眺めながらお墓参りができるでしょう。

2-2. 「埋葬方法別」の種類3つ

樹木葬は、埋葬方法によって「個別型」「集合型」「合祀型」の3種類に分けられます。

それぞれの特徴は、以下の通りです。

●個別型
個別墓は、1つの区画に1つの樹木を植えるスタイルです。同じ区画には夫婦や家族、ペットの遺骨を埋葬できます。シンボルツリーの種類を自由に選べたりプレート型の墓石を置けたりするため、他の方法に比べて自由度が高いと言えます。

遺骨の埋葬方法は、骨壺ごとの埋葬や布袋に入れた状態での埋葬が一般的です。

●集合型
集合型は、共同の区画に他の方の遺骨と区分けした状態で埋葬する方法です。同じ区画に埋葬されますが、骨壺や布袋に入れた状態で埋葬するため他の方の遺骨と混ざることはありません。

シンボルツリーはすでに設置されており、プレートの墓石を置くことはできません。個別型に比べて自由度は低いと言えるでしょう。ただし、共同で区画を使用するため、費用は個別型よりリーズナブルです。

●合祀型
合祀型は、同じ場所に他の方の遺骨と一緒に埋葬する方法です。遺骨は骨壺から出した状態か布袋に入れた状態で埋葬します。骨壺から取り出して埋葬する場合、他の方の遺骨と混じるため故人の遺骨を個別に取り出すことはできなくなります。

集合型と同様に、シンボルツリーの選定やプレートの墓石の設置はできません。ただし、他の方法に比べて埋葬費用は安く抑えられます。

3. 樹木葬の費用相場

樹木葬の費用総額は、約10万~200万円が相場です。これはあくまでも目安であり、立地や埋葬方法などによって実際にかかる費用は異なります。特に埋葬方法は、費用を大きく左右する要素と言えるでしょう。

樹木葬にかかる埋葬方法別の基本費用は、下記の通りです。

埋葬方法 費用相場
個別型 約50万~150万円
集合型 約20万~100万円
合祀型 約10万~30万円

個別の区画を必要とする個別型は費用が高く、区画を共有する集合型や他の方の遺骨と一緒に埋葬する合祀型は価格が低く設定されています。さらに、基本費用とは別に埋葬料や管理費用がかかります。

主な諸費用と費用相場は、下記の通りです。

費用内容 費用相場
埋葬料 数万円
彫刻料 数万円
年間管理費 約3,000~1万円

施設によっては、埋葬料やプレートの墓石に名前を記す彫刻料が基本費用に含まれる場合もあります。年間管理費は、施設の維持管理にかかる費用です。「生前のみ」「個別安置中のみ」など、費用がかかる期間は施設によってさまざまです。

契約時にかかる費用だけでなく、埋葬後の維持管理にかかる費用もしっかりと比較しましょう。

4. 樹木葬のメリット・デメリット

樹木葬には、メリットとデメリットの両面があります。故人や自身の考え方に近い方法で供養できるように、メリットとデメリットについて理解を深めておきましょう。

樹木葬の主なメリットは、次の通りです。

樹木葬のメリット
  • 自然に還りたいという思いを実現できる
  • 永代供養を選択できる
  • 一般墓に比べてコストを抑えられる

自然に還りたいという思いがある方にとって、樹木葬は最も理想的な埋葬方法です。ただし、すべての施設で直接埋葬をしているわけではないため、事前に確認しておく必要があります。

樹木葬は基本的に一代限りのお墓であるため、永代供養が可能です。遺骨の管理や供養を一任することで、子どもや家族への負担を軽減できます。

また、一般墓に比べてお墓にかかる費用を抑えられることも魅力です。一般墓の費用相場は約100万~300万円と言われているため、費用を抑えたい方には大きなメリットと言えるでしょう。

樹木葬の主なデメリットは、次の通りです。

樹木葬のデメリット
  • お墓の継承が難しい
  • 集合型・合祀型は遺骨の取り出しが難しい
  • お参りの対象物が曖昧になる

樹木葬は代々継承することが難しいため、子どもや孫への継承を考えている方には不向きです。

また、集合型・合祀型の多くは、故人の遺骨と他の方の遺骨が一緒に埋葬されます。お墓の引っ越しや遺骨の取り出しの可能性がある場合は、個別型が向いています。ただし、個別型でも一定期間が経過すると合祀されるケースが多いため、契約内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

樹木葬では、シンボルツリーや草花などの墓標に向かってお参りすることになります。集合型や合祀型は納骨場所が曖昧になりやすいため、個別型や納骨堂のほうが向いているでしょう。

まとめ

樹木葬の種類は、主に「里山型」「都市型(公園型)」「庭園型」の3つです。埋葬方法は「個別型」「集合型」「合祀型」があり、埋葬方法によって基本費用が大幅に変わります。

樹木葬には、「永代供養ができる」「コストを抑えられる」などのメリットがある一方で、「お墓の継承が難しい」「遺骨の取り出しが難しい」などのデメリットもあります。

永代供養を希望する方やコストを抑えたい方は、納骨堂の利用も検討してみましょう。

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