宇宙葬とは?主な種類・メリット・注意点・費用相場を解説!

お墓 納骨
2024.06.14
宇宙葬とは?主な種類・メリット・注意点・費用相場を解説!

この記事を書いた人

運営部主任 小林 雄志

葬儀・供養業界経験者。複数の霊園・納骨堂での勤務経験あり。
取得資格:終活コンシェルジュ

現代社会の核家族化と高齢化の進行に伴い、故人を供養する方法は多様化しています。その中でも徐々に注目を集めているのが、宇宙葬です。自然葬の一種ではあるものの、遺骨を海や空ではなく宇宙へと送り出すこの方法は、ロマンと未来への思いを感じさせるとして人気が高まってます。

当記事では、宇宙葬の種類やメリット、注意点、費用相場について解説します。宇宙葬に興味のある方や、新しい葬儀の形を考えている方にとって、有益な情報が満載です。故人の希望を叶える選択肢の1つとして、宇宙葬への理解を深めてみてはいかがでしょうか。

1. 宇宙葬とは?

宇宙葬とは、故人の遺骨や遺灰を宇宙空間に散骨する供養方法です。1990年代にアメリカで初めて実施された宇宙葬は、自然葬の一種であり、「スペースメモリアル(Space Memorial)」とも呼ばれています。

宇宙葬では、遺骨や遺灰を粉砕して専用カプセルに納め、ロケットで打ち上げるという手法が用いられるのが一般的です。巨大なバルーンを使って空に向けて飛ばす方法も存在します。

また、宇宙葬では遺骨や遺灰が人工衛星とともに地球の周りを回ったり、外宇宙に向かって永遠の旅に出たりするなど、故人の行き先はさまざまです。

アメリカでの初実施から現在まで、全世界で数百人以上がすでに宇宙葬を選び、実行しています。海への散骨や樹木葬ほどメジャーでないものの、最近では日本国内でもいくつかの業者が対応し始め、選べるプランも増えてきました。

新しい供養の形として注目される中、宇宙葬は一般の方々にも身近な選択肢の1つとなりつつあります。

2. 宇宙葬の主な種類4つ

宇宙葬と一口で言っても、その実施方法はさまざまです。サービスの提供会社によっても多少の差はあるものの、現状選べるプランとしては、「宇宙散骨」「月面供養」「流れ星供養」「バルーン葬」の4種類に大別されます。

ここでは、4種類の宇宙葬について、プランの概要や特徴を解説します。

2-1. 宇宙散骨

宇宙散骨は、ロケットに搭載した遺骨や遺灰を宇宙の彼方へ飛ばす方法です。このプランでは、遺灰は月面に安置されたり成層圏で燃え尽きたりするのではなく、宇宙の果てを目指す長い旅に出ます。

果てしない宇宙を行く旅へと故人を送り出す宇宙散骨は、宇宙葬の中でも特に壮大な選択肢と言えるでしょう。ただし、費用は他のプランに比べ高額な傾向にあります。

2-2. 月面供養

月面供養は、遺骨や遺灰をカプセルに納め、ロケットで月へ送るプランです。月面供養の特徴は、月を故人の「お墓」とする点です。遺族は地球のどこからでも月を見上げれば、お墓参りが可能になります。

宇宙葬の中でも「散骨」ではなく「安置」になるプランでありながら、宇宙と結びついたロマン溢れる供養方法です。平均的な費用は宇宙散骨と同程度ですが、遺灰の量や選ぶプランによってはさらに高額になります。

2-3. 流れ星供養

流れ星供養は、遺骨や遺灰をカプセルに納めて人工衛星に乗せ、宇宙に打ち上げる方法です。人工衛星は地球を数日から数年周回した後、大気圏に突入し燃え尽きて流れ星になります。この流れ星になる最後の瞬間が、流れ星供養の名前の由来です。

流れ星供養では、専用アプリを使って人工衛星の位置を追跡できたり、衛星から送られる地球の画像を見れたりするプランもあります。宇宙散骨よりは安価ですが、追加するオプションによっては高額になる供養方法です。

2-4. バルーン葬

バルーン葬は、遺骨や遺灰を大型のバルーンに入れて成層圏まで飛ばす方法です。このバルーンが成層圏に達すると、中の空気が気圧の変化で膨張して破裂し、遺骨や遺灰が空中に散骨されます。

厳密に言うと成層圏は宇宙ではないものの、広義の意味では宇宙葬としての位置づけです。宇宙葬の中でも新しい形式で、ご遺族が空を見上げるたびに故人を偲べる供養方法として、自然葬を望む方からの注目が高まっています。宇宙葬の中ではもっとも手ごろで、日本国内で手続きが完了できる点も魅力です。

3. 宇宙葬を行うメリット

近年認知度が上がりつつあるものの、未だ一般的とは言い難いのが宇宙葬です。特殊な供養方法である宇宙葬という選択肢には、いくつかのメリットがあります。特に大きなのは、夢とロマンを感じられる体験や、家族の負担を軽減させる点です。

次に、これらのメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1. 夢とロマンを感じられる

宇宙葬は、故人にとって「生前の夢だった宇宙に行ける」という大きなメリットがあります。

現代の技術では生きている間に宇宙を訪れることは難しく、実際に希望を叶えられる方は一握りしかいません。しかし、宇宙葬という形であれば、死後ではあるもののその夢を叶えることが可能です。

また、遺族にとっても「宇宙へ旅立った」というロマンを感じることができます。人が亡くなることに対するネガティブな印象を前向きに捉えやすくなるのは、宇宙葬のメリットと言えるでしょう。星や月を見上げたときに故人を感じられるのは、宇宙葬ならではの特別な経験です。

3-2. 残された家族の負担を軽減させられる

宇宙葬を選ぶことで、残された家族の身体的負担と金銭的負担が大きく軽減されるのもメリットです。通常、お墓を購入する場合は高額な初期費用に加えて、毎年の管理料がかかります。居住地によっては、お墓参りやお墓の維持が負担となるケースも散見されます。

しかし、ご遺骨の一部を宇宙葬とし、残りは手元供養や合葬を選べば、お墓の管理や維持の必要がなく後継者問題も発生しません。お墓の行方に不安が残る方にも適した供養方法と言えるでしょう。

4. 宇宙葬を選択する際の注意点

宇宙葬のメリットは魅力的ですが、選択する際にはいくつかの重要な注意点も理解しておかなければなりません。事前に注意点をしっかりと把握しておきましょう。

ここでは、宇宙葬を選択する際の注意点を3つ解説します。

4-1.  遺骨をどのくらい宇宙に送るのか

ロケットに重量制限があるため、実際に宇宙に送る遺骨や遺灰の量によって、価格が変わります。
全骨を宇宙に送らない場合、残った遺骨や遺灰に関しては、別の供養方法を検討する必要があります。

例えば、手元供養や別の散骨方法などが選択肢として挙げられるでしょう。業者によっては残った遺骨の永代供養を提供している場合もあります。宇宙葬を選ぶ際は、この点を考慮し、全体的な供養計画を立てることが重要です。

4-2. 実施までに期間を要する可能性が高い

宇宙葬の申し込みから実施までには、数年かかるケースは少なくありません。これは、宇宙葬が個々の遺灰のみを打ち上げるわけではなく、複数人の遺灰をまとめてロケットで打ち上げるためです。
一方、ロケット打ち上げのツアーに参加するプランもあるので、セレモニーとして準備期間があるのはメリットになる可能性があります。

ロケットの状態や天候、散骨希望者の集まり具合によっては、予定されていた打ち上げが延期または中止される場合もあります。バルーン葬であれば、ある程度希望を通せるのが一般的です。

4-3. 信頼できる会社を選ぶ必要がある

宇宙葬を提供する会社はまだ少なく、情報も限られています。信頼できる会社を選ばなければ、詐欺をはじめとした何らかのトラブルが生じるリスクもあります。

なお、バルーン葬以外の宇宙葬を実施しているのは現状海外の会社のみで、日本で対応するのはあくまで代理店です。

口コミや評判を参考にする機会も少ないため、葬儀や法律のプロに相談しつつ実績や信頼性をしっかり調査しましょう。倒産のリスクを避けるためにも、前受金を支払う場合は会社の財務状況も確認しておかなければなりません。

5. 宇宙葬の費用相場

宇宙葬の費用相場は、プランによって大きく異なります。

例えば、バルーン葬は20万円前後、流れ星供養は30万円程度からと比較的安価に実施可能です。

一方で、人工衛星に同乗させたり、月面や宇宙空間へ遺灰を送ったりするようなプランは、100万~200万円以上と高額になります。ロケットの打ち上げや特別な技術が必要となり、コストがかかるためです。

宇宙葬を考える際は、それぞれの費用相場を理解し、予算に応じて適切なプランを選択しましょう。

まとめ

かつては現実感のないものと捉えられていた宇宙葬も、現在では一般市民でも手が届く葬儀・埋葬の一形式となってきました。しかし、新しい形式であることに変わりはありません。

宇宙葬は、夢とロマンを感じられる供養の方法であり、家族の負担を軽減できるメリットもあります。一方で、送れる遺骨の量や実施までの期間、信頼できる業者の選定など、注意すべき点も少なくありません。これらを踏まえた上で、宇宙葬を選択するかどうかを検討することが大切です。

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