墓じまいとは?メリット・デメリットや必要な手続き・主な改葬先も
この記事を書いた人
先祖代々のお墓を管理している方の中には、維持・管理にかかる負担や今後のお墓の継承などの悩みを抱えている方も多いでしょう。近年ではお墓を整理する「墓じまい」を選択する方も増えたことから、墓じまいについて詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、墓じまいの内容やメリット・デメリットについて詳しく解説します。墓じまいを選ぶ方が増えている理由や必要となる費用の相場、墓じまいの手順や必要な手続きも併せて確認し、不安を解消した上でお墓の整理を行いましょう。
1. 墓じまいとは?

墓じまいとは、現在のお墓を解体し、墓石などを撤去して更地にした上で、墓地管理者に土地や使用権を返すことを言います。
お墓を解体する場合、お墓に納めていた遺骨を別の形で供養する「改葬」が並行して行われることが一般的です。そのため、「墓じまい」には墓石の撤去だけでなく、改葬という意味も含まれることを押さえておきましょう。
墓じまい後の供養方法としては、アクセスの良い一般墓への改葬や手元供養、散骨、納骨堂などでの永代供養が挙げられます。最近はさまざまな供養方法があるため、それぞれの家庭の事情や故人に合った供養の方法を選びましょう。
1-1. 墓じまいをする方が増えている理由
最近ではさまざまな事情により、墓じまいを選択する方が増えています。厚生労働省によると、2024年度における全国の改葬件数は17万6,105件であり、2年前(2022年度)の15万1,076件と比較して約2万5,000件増加しています。
このように、墓じまいを選ぶ方が増えた背景として、次のような理由が考えられます。
【墓じまいをする方が増えている理由】
●お墓参りが難しい状況になった
●お墓の維持・管理にかかる負担を減らしたい
●お墓に対する価値観が変化している
少子化が進む現代では、お墓の後継者がいない家庭も少なくありません。また、お墓を管理する方が高齢であったり、お墓のある地域から離れた場所に暮らしていたりするなど、お墓参りが難しくなったケースも多く見られます。
さらに、昨今の価値観の変化・多様化に伴い、お墓や供養方法についても多様な選択肢が登場しています。負担の少ないお墓・供養方法を選べるようになったことも、墓じまいを選ぶ方が増えた理由の1つと言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例/第4章 生活衛生/埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」)
1-2. 墓じまいと改葬の違い
墓じまいと改葬は混同されやすい言葉ですが、厳密にはそれぞれ意味が異なります。
墓じまいとは、現在のお墓を撤去して更地に戻し、墓地の管理者へ返還することを指します。一方の改葬とは、すでに埋葬されている遺骨を別のお墓や納骨堂などへ移すことです。
多くの場合、墓じまいを行う際には遺骨の移動が必要となるため、改葬もあわせて行われます。ただし、墓じまい後に散骨や手元供養を選択する場合などは、新たなお墓へ移すわけではないため、厳密には改葬に該当しないケースもあります。
2. 墓じまいのメリット3つ&デメリット2つ

墓じまいをすることには多くのメリットがありますが、デメリットや気を付けておきたいポイントがあることにも注意が必要です。墓じまいを検討する際には、メリットとデメリットの両面を考慮した上で進めるようにしましょう。
ここでは、墓じまいを行う3つのメリットと2つのデメリットについて紹介します。
2-1. メリット(1)お墓の維持や管理にかかる負担を軽減できる
墓じまいを行う大きなメリットとして、お墓の維持・管理にかかる負担を軽減できることが挙げられます。
お墓を維持・管理するためには、清掃など身体的な負担だけでなく、年間使用料や檀家料といった金銭的な負担も発生します。墓じまいをして管理しやすい供養方法に改葬すれば、負担を大幅に軽減できるでしょう。
また、自分だけでなく、継承者となる子どもや孫の負担を減らせることも大きなポイントです。お墓の継承に関する悩みも少なくなるため、精神的な負担も軽減できるでしょう。
2-2. メリット(2)無縁墓となる心配がなくなる
無縁墓となる心配がなくなることも、墓じまいを行うメリットの1つです。
自分の死後にお墓を管理する後継者がいない場合、お墓が放置されることになり「無縁墓」と判断される恐れがあります。無縁墓となってしまうと、自分を含む先祖の供養ができません。また、放置されたお墓が倒壊するなどのリスクも考えられるでしょう。
自分の代で墓じまいを行えば、無縁墓となるリスクを考える必要がなくなります。今後の供養や周囲への迷惑について心配せずに済むため、精神的な負担を軽くすることができるでしょう。
2-3. メリット(3)改葬によって供養がしやすくなる
改葬により、供養がしやすくなることも大きなポイントです。自宅や職場、公共交通機関の駅などからのアクセスが良い場所にお墓を移せば、お墓参りもしやすくなるでしょう。
「少子化」「維持管理の負担」などネガティブな理由で墓じまい・改葬を行うことがほとんどですが、改葬にはお墓参りの環境を整えるといったポジティブな面もあります。前向きな気持ちで供養できるようになることも、墓じまいの大きなメリットと言えるでしょう。
2-4. デメリット(1)親族とのトラブルが発生する可能性がある
メリットも多い墓じまいですが、親族に相談せず勝手に進めてしまった場合、親族間でトラブルが発生する可能性があることに注意が必要です。
墓じまいを進める際には、事前に親族と相談することが大切です。「墓じまいの費用は誰が負担するか」「納骨先をどこにするのか」などの意見を一致させた上で、墓じまいを進めましょう。
2-5. デメリット(2)一時的な金銭的負担が発生する
墓じまいは将来の金銭的負担を軽減できるというメリットがある一方で、墓じまいを行う際に金銭的負担が一時的に発生するというデメリットもあります。書類手続きなどの手間も必要となるため、予算やスケジュールに余裕をもって墓じまいを進めるとよいでしょう。
3. 【8STEP】墓じまい・改葬の手順と必要な手続き

墓じまいをスムーズに進めるためには、全体の流れや各ステップで必要となる手続きを事前に把握しておくことが重要です。特に、行政手続きや親族間の合意形成などは時間がかかる場合もあるため、余裕をもって進めましょう。
ここからは、墓じまいから改葬までの一般的な流れを8つのステップに分けて解説します。
3-1. STEP(1)親族に相談して同意を得る
墓じまいを行う際は、まず親族に相談し、事前に同意を得ることが重要です。お墓は家族や親族全体に関わるものであり、独断で進めると後々トラブルに発展する可能性があります。
特に、費用の負担や遺骨の供養方法については意見が分かれやすいため、丁寧に話し合いを重ねることが大切です。墓じまいの理由や今後の供養方針を明確に伝え、全員が納得したうえで進めるようにしましょう。
3-2. STEP(2)墓じまい・改葬に必要な手続きと書類を確認する
墓じまいや改葬に必要な手続きや書類は、自治体ごとに異なります。
そのため、現在のお墓がある地域を管轄する役所や公式サイトで、事前に必要書類や申請方法を確認しておくことが大切です。書類の取得や郵送対応には時間がかかる場合もあるため、余裕をもって準備を進めましょう。
また、自治体によっては補助金制度が用意されているケースもあるため、あわせて確認しておくことをおすすめします。
3-3. STEP(3)墓地の管理者に墓じまいの相談をする
墓地の管理者に対して、墓じまいや改葬の意思を伝えます。その際、改葬手続きに必要となる「埋蔵証明書(埋葬証明書)」の発行を依頼します。
寺院墓地の場合は、長年の付き合いがあるケースも多いため、理由や事情を丁寧に説明することが重要です。伝え方によっては離檀料に関するトラブルが発生することもあるため、事前に相場感を把握しておくと安心です。
3-4. STEP(4)新たな納骨先(改葬先)を決める
取り出した遺骨を納める新たな納骨先を決めます。一般墓や納骨堂、樹木葬、永代供養などさまざまな選択肢があるため、将来の管理負担や家族の状況も踏まえて検討することが大切です。
納骨先が決まったら契約を行い、「受入証明書」の発行を依頼します。なお、散骨や手元供養を選ぶ場合は改葬の扱いが異なる場合もあるため、事前に自治体へ確認しておきましょう。
3-5. STEP(5)改葬許可証を取得する
現在のお墓がある自治体で「改葬許可証」を取得します。役所で改葬許可申請書を入手し、必要事項を記入したうえで、「埋蔵証明書」と「受入証明書」を添えて提出します。
改葬許可証は遺骨を移動する際に必須となる重要な書類であり、これがなければ正式に改葬を行うことはできません。手続きに不備があると再申請が必要になるため、記入内容は慎重に確認しましょう。
3-6. STEP(6)閉眼供養を行い遺骨を取り出す
墓石の解体・撤去を行う前に、閉眼供養(魂抜き)を行います。閉眼供養は、お墓に宿る魂を抜く儀式であり、僧侶に依頼して実施するのが一般的です。
供養後に遺骨を取り出しますが、作業には専門的な知識や力が必要となるため、石材店に依頼するケースが多く見られます。日程は石材店や僧侶と調整し、スムーズに進められるよう準備しておきましょう。
3-7. STEP(7)墓石の解体・撤去工事を行う
石材店などの専門業者に依頼し、墓石の解体・撤去工事を行います。墓石だけでなく基礎部分も含めて撤去し、更地に戻したうえで墓地の管理者に返還します。
なお、費用は墓地の立地や広さによって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取り比較検討することが重要です。極端に安価な業者は不適切な処理を行うリスクもあるため、実績や信頼性も確認しましょう。
3-8. STEP(8)新たな納骨先に遺骨を納める
最後に、新たな納骨先へ遺骨を納めます。事前に納骨日程を調整し、必要に応じて法要を行いましょう。
納骨の際には「改葬許可証」の提出が求められるため、忘れずに準備しておくことが重要です。
新たな納骨先に遺骨を納めることによって、墓じまいと改葬の一連の流れは完了となります。
4. 墓じまい・改葬にかかる費用の相場|項目別の内訳も

墓じまいにかかる費用は、現在のお墓の状況や改葬先によって大きく異なりますが、全体の費用目安としては約80万~400万円と、価格幅が大きいことが特徴です。
ここでは、「既存のお墓の撤去」「行政手続き・書類取得」「改葬先」でそれぞれ必要となる費用の内訳や金額の目安を紹介します。
【「既存のお墓の撤去」に関する費用】
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 解体・撤去工事費用 | 1㎡あたり約10万~15万円 (1平方メートルあたり) |
| 離檀料 | 無料~約20万円 |
| お布施代 | 約3万~10万円 |
【「行政手続き・書類取得」に関する費用】
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 書類の交付費用 | 数百円~1,500円程度 |
【「改葬先」に関する費用】
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 新たな納骨先での納骨・開眼法要費用 | 約5万~250万円 |
| お布施代 | 約3万~10万円 |
上記の内訳から、改葬先に関する費用が墓じまい全体の費用に大きな影響を及ぼしていることが分かります。家族・親族とよく相談し、予算を十分に検討した上で墓じまいの方針を決定しましょう。
5. 墓じまい後の主な改葬・供養先4選

墓じまいを行った後は、取り出した遺骨をどこでどのように供養するかを決める必要があります。遺骨は法律により勝手に処分することができず、必ず何らかの形で供養先を確保しなければなりません。
供養方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれ費用や管理の負担、参拝のしやすさが異なります。将来的な維持管理のしやすさや家族の意向も踏まえながら、自分に合った方法を選ぶことが重要です。最後に、墓じまい後の主な改葬・供養先を4つ紹介します。
5-1. 一般墓
一般墓は、従来と同様に墓石を建てて遺骨を納める方法です。現在のお墓を移設したり、新たに墓地を購入して建て直したりするケースが多く見られます。費用の目安は80万~300万円程度とされています。
従来のお墓と同じように個別のスペースでお参りできる点がメリットで、先祖代々の供養を重視したい方に向いています。一方で、墓石の建立費用や管理費がかかるため、他の供養方法と比較すると費用負担は大きくなりやすい点には注意が必要です。
5-2. 納骨堂
納骨堂は、屋内施設などに設けられたスペースに遺骨を納める供養方法です。ロッカー型や自動搬送型などさまざまな形式があり、近年は都市部を中心に増加しています。費用の目安は10万~400万円程度と、立地や形式によって大きな差が生じる点も特徴です。
天候に左右されず快適に参拝できることや、アクセスの良い立地にあることが多い点がメリットです。設備が整っている施設も多く、高齢者でも利用しやすい特徴があります。ただし、年間管理費が必要な場合があるほか、プラン・形式によっては高額になりやすい点に注意が必要です。
5-3. 樹木葬
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とし、その周辺に遺骨を埋葬する方法です。自然に還りたいという考えを持つ方に選ばれることが増えています。費用の目安は5万~200万円程度で、立地によって大きな差が生じます。
一般墓と比べて費用を抑えやすく、管理の手間が少ない点がメリットです。一方で、一度納骨すると遺骨を取り出すことが難しい場合が多く、納骨場所を自由に選べないケースもあります。
5-4. 手元供養
手元供養は、遺骨の一部または全部を自宅で保管し、身近で供養する方法です。小型の骨壺やアクセサリーに納めるなど、さまざまな形で取り入れられています。費用は数百円~50万円程度と、手元供養の形によって大きく幅があります。
いつでも故人を身近に感じられる点が大きなメリットで、お墓を持たない選択肢として注目されています。ただし、将来的に管理する人がいなくなった場合の対応や、紛失リスクについては事前に検討しておく必要があります。
まとめ
墓じまいとは、既存のお墓を解体して墓地の管理者に土地や使用権を返還することであり、遺骨を新たな納骨先に移す「改葬」の意味を含む場合もあります。墓じまいや改葬を行う場合は、メリット・デメリットをふまえた上で、費用や手続きについて十分に検討・確認し、親族と話し合いながら進めることが大切です。
墓じまい後の新たな納骨先・供養方法にはさまざまな種類がありますが、お墓参りのしやすさを考えると、参拝環境やサポートが整備された納骨堂がおすすめです。公共交通機関でのアクセスが良好で永代供養も可能な納骨堂「了聞」にぜひご相談ください。


