ペット供養とは?旅立った後のケアと6つの供養方法を紹介

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大切な家族の一員であるペットとの別れは、誰にとっても辛いものです。
最期まで愛情を込めて見送りたいと考えるものの、「どのように供養すればよいのか」「納骨の方法にはどんな選択肢があるのか」と悩む人も多いでしょう。ペット供養には、手元供養や霊園での納骨、自宅での埋葬など、さまざまな方法があります。
そこで今回は、ペットが安らかに眠れるようにするための供養の選択肢や、それぞれにかかる費用の目安を解説します。ペットとの大切な時間を振り返りながら、穏やかな心で供養する方法を見つけましょう。
目次
1. ペット供養とは
ペット供養とは、ペットが亡くなった際のお見送りや供養全般を指します。明確な定義はありませんが、「火葬したペットの遺骨を納骨する葬送」を意味するのが一般的です。
人間の供養には宗教や法律上の決まりがありますが、ペット供養には厳格なルールがありません。家族の気持ちや希望に応じて、葬儀・法要の形や宗派は自由に選べます。手元供養や散骨、霊園での納骨など、供養のスタイルもさまざまで、途中で変更することも可能です。
近年では寺院や神社でもペット供養を行うところが増えてきました。仏教寺院ではペットの納骨堂や供養塔を設け法要を実施したり、神社でもペット慰霊祭を行ったりする例が見られます。ただし、対応の有無は寺社によって異なるため、事前の確認が必要です。
2. 【供養の前に】ペットが旅立った後にすべきケア
ペット供養を行う前に、まずは息を引き取ったペットの遺体を適切にケア(エンゼルケア)することが大切です。亡くなった後は死後硬直や体液の漏出が始まるため、速やかに対応しなければなりません。
最初に、遺体を涼しい場所に移動させます。特に気温が高い時期はクーラーを使用し、室温を下げるとよいでしょう。床を汚さないようにペットシートやタオルを敷き、体液の流出を防ぐために口や鼻、肛門にガーゼやコットンを詰めます。
その後、固く絞ったタオルで体を拭き、表面の汚れを取り除きます。このとき、水分が多いと腐敗が進みやすくなるため、濡らしすぎないよう注意しましょう。
遺体の冷却も重要なポイントです。ドライアイスや保冷剤を使用し、お腹の周辺を中心に冷やします。亡くなってから2~3時間後に死後硬直が始まるため、それまでに手足を整え、安置しやすい姿勢に整えておきましょう。
最後に、遺体を棺(大きめの段ボールなど)に納めます。ペットシートや毛布を敷いた上に遺体を安置し、保冷剤を周囲に配置すると安心です。
お供えとして、ペットが好きだったおもちゃやお花、おやつを添えてあげてください。供養の前のこの大切な時間を、天国へ旅立ったペットへの感謝の気持ちを込めながら過ごしましょう。
3. ペット供養の方法6つ|かかる費用の目安も
ペット供養には、さまざまな方法があります。自宅で手元供養するものから自然に還す散骨、専用の霊園に納骨するものまで、選択肢は多様です。
ここからは、ペット供養の主な方法6つを特徴や費用の目安とともに紹介します。自分たちにふさわしい供養の形を考えるためにも、ぜひ参考にしてください。
3-1. 手元供養をする
手元供養とは、火葬した遺骨を自宅で保管し供養する方法です。火葬したペットのお骨を骨壺に納め、ペット用の仏壇やメモリアルスペースを設けてお祀りします。人間の仏壇と同様に、位牌や写真を飾り、おりんや線香立てなどを用意して、手を合わせて冥福を祈る形が一般的です。
遺骨をそのまま骨壺で保管するほか、小さなカプセルやペンダントに粉砕したお骨の一部を納めて持ち歩く方法もあります。近年は、インテリアになじむデザインの供養品も多く、個々のスタイルに合わせた供養が可能です。
手元供養の費用は、骨壺や仏壇、位牌などを一通りそろえる場合、3万~6万円程度が相場です。ペンダント型の手元供養品は数千~数万円前後で購入できます。
3-2. 自宅敷地内で埋葬する
自宅の庭などにお墓を作る方法もあります。特に小動物であれば、火葬せずそのまま埋葬するのも可能です。火葬後の遺骨を庭に埋める場合もあり、家族のそばで眠らせたい人に選ばれています。
ペットの埋葬には法律上の制約がないため、自分が所有する土地の敷地内であれば問題ありません。ただし、近隣に配慮した上で、衛生面を考慮して十分に深く掘る必要があります。なお、賃貸物件では埋葬できないため注意しましょう。
埋葬場所に墓石を置いたり、手作りのプレートを飾ったりすれば、記念碑としても供養できます。墓石を作る場合の費用は、数万~10万円程度が相場です。
3-3. 散骨する
ペットを自然に還したい場合、散骨も選択肢の1つです。遺骨を粉末状にし、海や山に撒くことで、自然と一体になれる供養方法です。特に「広い空の下で自由にしてあげたい」と考える飼い主に人気があります。
人間の遺骨とは異なり、ペットの遺骨を散骨する際は行政の許可がいりません。しかし、散骨を行う際には、遺骨を細かく粉砕する「粉骨」処理が必要です。自分で行うのは難しいため、専門業者に依頼するのが一般的です。火葬業者や霊園が粉骨サービスを提供していることもあります。なお、粉骨処理にかかる費用の相場は、5千~2万円程度です。
散骨自体の費用は場所や方法によりますが、約1万~30万円が相場となります。代行や合同で行うプランであれば、費用は比較的抑えられるでしょう。
3-4. ペット霊園・寺院の供養塔に合祀する
火葬後の遺骨を、ペット霊園や寺院の供養塔(合同墓・永代供養墓)に納める方法です。合祀とは、遺骨を骨壺から取り出してほかのペットの遺骨と一緒に埋葬する方法で、個別の保管はできません。供養塔がある霊園や寺院では定期的に合同供養が行われるため、自分たちに出向けない事情がある時期でも、手厚い供養を受けられます。
費用は比較的安価で、5千~3万円程度が相場です。火葬時に納骨まで依頼できる場合もあります。年間管理費が不要なケースが多く、費用を抑えながら定期的に供養したい人に適した方法です。ただし、一度合祀した遺骨を取り出せないため、事前に家族と相談し、納得した上で決めましょう。
3-5. ペット霊園・寺院の納骨堂に個別保管する
ペットの遺骨を個別に納められる納骨堂を利用する方法です。霊園や寺院の屋内施設に専用スペースが設けられており、人間の納骨堂と同様に、骨壺や遺影、おもちゃなどを一緒に保管できます。
ロッカー型や仏壇型など、施設や契約するプランによって形式が異なります。屋内で管理されるため、天候に関係なくゆったりとお参りしやすいのがメリットです。定期的な法要を行ってくれる施設も少なくありません。
納骨堂の利用料は、初期費用が1万~30万円程度、年間管理費は5千~3万円程度が相場です。施設によっては、合祀墓へ移されるまでの期間が決められている場合もあるため、契約内容は詳細に確認しておきましょう。
3-6. 人とペットが一緒に入れるお墓に埋葬する
ペットと家族がともに眠れるお墓を選ぶ方法です。家族の一員であるペットと生涯を終えた後もともにあるための選択肢として、近年注目されています。民間霊園では、ペットと人が一緒に入れる区画を設けているところも増えてきました。
ただし、仏教では「人と動物の供養は別」という考えが根強く、菩提寺によっては受け入れてもらえない可能性がある点は留意しておきましょう。希望する場合は、事前に霊園や寺院への相談が必要です。
費用の相場は、人間のお墓と同様に初期費用が60万円~数百万円、年間管理費が5千円~1万円程度です。ただし、ペットの納骨が人間より先にできないルールを設けている霊園もあるため、契約前にしっかり確認しておきましょう。
まとめ
ペット供養には、さまざまな方法があります。火葬後に手元供養する、自宅の庭に埋葬する、霊園や寺院の供養塔に合祀するなど、それぞれに特徴があり、かかる費用も異なります。納骨堂で個別に保管して小まめにお参りしたり、ペットと一緒に入れるお墓を選んでともに眠ったりすることも可能です。
大切なペットをどのように供養するかは、家族の気持ちやペットの性格、環境に合わせて決めることが重要です。費用や供養の方法をよく検討し、愛するペットが安らかに眠れる最適な方法を選びましょう。