合祀・合祀墓とは?主な種類・メリット&デメリット・費用相場も解説

お墓
2024.03.01
合祀・合祀墓とは?主な種類・メリット&デメリット・費用相場も解説

この記事を書いた人

運営部主任 小林 雄志

葬儀・供養業界経験者。複数の霊園・納骨堂での勤務経験あり。
取得資格:終活コンシェルジュ

合祀や合祀墓という言葉を聞いたことがあっても、正確な意味を把握できていない方もいるでしょう。合祀とは、亡くなった方の遺骨を他の方の遺骨と一緒に埋葬することを指します。近年は、日本の伝統的な埋葬方法だけでなく、合祀を選ぶ方が増えてきました。

当記事では、合祀や合祀墓の基本知識、合祀墓を選ぶメリット・デメリット、費用相場などを解説します。合祀墓に関心がある方、自分たちにふさわしいお墓の形を探している方は、ぜひ当記事をご参考ください。

1. 合祀とは?読み方・意味について

合祀(ごうし)は、「合わせて祀る」という意味の言葉で、遺骨の埋葬方法の1つです。この方法では、骨壺から取り出した遺骨を他の方の遺骨と合わせて埋葬します。

もともとは、神道で複数の神を一緒に祀る意味で使われていた言葉です。現在は仏教式で複数の遺骨を一緒に埋葬する際にも、合祀と呼ばれることが一般化しました。遺骨は混ざり合い、ゆっくりと時間をかけて土に還れるように地中に安置されます。

1-1. 合祀を選ぶ方が増加する背景

合祀を選ぶ理由はさまざまですが、下記の理由が代表的です。

●お墓の継承を望まない
子どもや孫にお墓の継承を負担として残したくないと考える方が増えています。少子高齢化や結婚・出産観の変化により、継承者がいないケースも多くなりました。住居が頻繁に変わるライフスタイルの方も、定期的なお墓参りが難しいため合祀を選択しています。

●遺骨整理の必要性
お墓の納骨スペースには限りがあるため、長年骨壷を納め続けると新しい骨壷を埋葬するスペースが不足します。先祖代々の遺骨を1つにまとめ、新たなスペースを確保するケースが少なくありません。

●無縁墓の問題
寺院や霊園では、維持費や使用料の支払いがないと経営が破綻しかねません。このため、料金を滞納したお墓や継承者のいないお墓は無縁墓として撤去され、合祀墓に埋葬されることがあります。親類縁者との付き合いが希薄でお墓の管理を依頼できる方がいないという理由で、自ら墓じまいと合祀を選ぶ方も増えてきました。

2. 合祀墓とは?

合祀墓とは、複数の遺骨を一緒に埋葬する大きなお墓のことです。合葬墓や共同墓などとも呼ばれることがあります。このお墓では、血縁関係のない方同士の遺骨がともに埋葬され、時間をかけて自然に還るのが特徴です。

合祀墓はさまざまな埋葬形式があり、それぞれ費用が異なります。そのため、合祀を選択する際には、どのような形式のお墓なのか、費用はどのくらいかなどを事前に理解しておくことが大切です。

2-1. 合葬墓・永代供養墓との違い

合祀墓と混同されやすいお墓に、合葬墓と永代供養墓があります。それぞれとの違いは、以下の通りです。

【合祀墓と合葬墓】
合葬墓は、遺骨を骨壺から取り出さない点が合祀墓と異なります。合葬後に一定期間が経過したら骨壺から遺骨を取り出し、合祀墓に埋葬するケースが一般的です。この合葬から合祀への移行期間は、多くの場合、三十三回忌を目処に行われます。

 

【合祀墓と永代供養墓】
合祀は、複数の遺骨を同じ場所に納める埋葬方法です。対して、永代供養は寺院や霊園が遺族の代わりに行う、遺骨の供養・管理方法を指します。永代供養は、寺院や霊園が存在する限り継続される供養であり、骨壺やお墓をそのまま管理するケースも含まれます。永代供養の1種類として、合祀墓があると考えればよいでしょう。

3. 合祀墓の主な種類3つ

合祀墓は、複数の故人の遺骨を一緒に埋葬するお墓であり、血縁関係のない方々の遺骨が安置されるのが特徴です。一口に合祀簿と言っても種類や形式は多岐にわたりますが、主に3つの系統に大別されます。

ここでは、合祀墓の特に代表的な種類3つをそれぞれ詳しく紹介します。

3-1. 納骨堂型

納骨堂型の合祀墓は、遺骨を保管する施設である納骨堂を利用した合祀墓です。納骨堂にはロッカー式や仏壇式、位牌式など多様な形態があります。

通常の納骨堂への埋葬では、まずは遺骨を骨壺のまま収め、契約期間が終了した時点で、他の遺骨と合わせて合祀されるのが一般的です。しかし、納骨堂型合祀墓では納骨の時点で合祀されます。

3-2. 樹木葬(自然葬)型

樹木葬型(自然葬)の合祀墓は、墓石を使用する代わりに樹木をシンボルとする方法です。桜や紅葉などの樹木を墓石の位置に据え、遺骨は周辺の土に直接埋葬されます。

自然に還るイメージを持ちやすく、自然派の方々に人気がある埋葬方法です。お墓参りも気持ちよく行えるメリットがあります。

ただし、遺骨が直接土に埋まるため、具体的な埋葬場所が分かりにくい点と、人工樹木を使用しているケースがある点には注意が必要です。

3-3. 慰霊碑型

慰霊碑型の合祀墓は、納骨スペースの上に慰霊碑や石碑、仏像などのモニュメントを建てて合祀します。

本来の慰霊碑は、戦争や災害で亡くなった方々の霊を慰めるために建てられる石碑のことです。慰霊碑型は合祀墓としてスタンダードな形式であり、一般的な先祖代々のお墓と同様にお墓にお参りできます。

4. 合祀墓を選ぶメリット&デメリット

合祀墓には、メリットとデメリットが共存します。メリットとしては維持管理の手間が少ないことや経済的な負担の軽減など、デメリットとしては個別の墓所がないことや家族の歴史を維持しにくい点が挙げられるでしょう。

お墓の形として合祀墓を選ぶかどうかは、メリットとデメリットの両面を比較して検討することが大切です。

ここでは、合祀墓のメリットとデメリットを解説します。

4-1. メリット

合祀墓を選ぶメリットは、主に次の4つです。

● 遺骨の管理や供養を委託できる
● 金銭面での負担が少ない
● さまざまな形式から選べる
● 宗旨宗派を問わない

合祀墓では、遺骨の管理や供養を墓地や霊園の管理者に任せられるため、後の世代に負担がかかりません。また、お墓や埋葬場所自体は用意されており、新たに墓石を購入する必要がなく、永代使用料も比較的安価で経済的です。

さまざまなタイプの合祀墓があり、故人の希望に合わせた選択が可能となるのもメリットです。宗旨宗派を問わないのも大きな利点ですが、法要や供養の仕方は管理している寺院や霊園によって異なります。特定の宗教や宗派の供養を受けたい場合は、事前に確認しましょう。

4-2. デメリット

合祀墓を選ぶ際には、次のデメリットも考慮する必要があります。

● 一度合祀した遺骨は取り出せない
● 親族間での相談が必要となる
● 既存のお墓から合祀墓に遺骨を移す場合は、墓じまいが必要となる

合祀墓は、一度遺骨を埋葬すると二度と個別に取り出せません。そのため、将来的に別のお墓に移したくなっても不可能です。

また、すべての関係者が納得していなければトラブルに発展する恐れがあるため、親族間で事前によく話し合っておく必要があります。さらに、既存のお墓から遺骨を移す場合は、墓じまいが必要です。 これらの点を踏まえて、慎重に選択するとよいでしょう。

5. 合祀墓の費用相場と内訳

合祀墓の費用相場は地域や施設によって異なりますが、おおむね10万円~30万円程度です。一般的な内訳は、下記の通りです。

永代供養料 永代にわたって供養してもらう費用および合祀墓の管理費用
永代使用料 合祀墓を使用する権利の購入費用
納骨料 合祀墓に遺骨を納めるための費用
※場合によっては読経供養のお布施が必要
彫刻料 墓石に戒名等を彫刻する費用

公営施設の合祀墓は比較的安価な傾向にあり、1万円台の場合もあります。

一方、民営施設は公営施設に比べて価格が高めですが、合同法要などのサービスが充実しています。一般墓に比べれば、合祀墓は費用を抑えやすいお墓と言えるでしょう。

ただし、戒名の彫刻や個別供養など、追加サービスには別途費用がかかることもあります。

まとめ

合祀墓は、現代社会における家族構造や考え方の変化に対応する埋葬方法として、注目されている方法です。合祀墓にはさまざまな形式があり、維持管理の手間が少なく、経済的な負担が軽減できるなど多くのメリットがあります。

一方で、一度合祀すると遺骨の取り出しが不可能になる、親族間でトラブルになる場合があるといったデメリットも存在するため、慎重に検討しなければなりません。家族や親族との十分な話し合いを通じて、自分や故人の希望に合った方法を選ぶことが重要です。

CONTACT
ご見学の予約・資料請求・お問い合わせはこちらから
icon-mail問い合わせ・資料請求