墓じまいとは?メリット・デメリットから必要な費用・手続きまで
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先祖代々のお墓を管理している方の中には、維持・管理にかかる負担や今後のお墓の継承などの悩みを抱えている方も多いでしょう。近年ではお墓を整理する「墓じまい」を選択する方も増えたことから、墓じまいについて詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、墓じまいの内容やメリット・デメリットについて詳しく解説します。墓じまいを選ぶ方が増えている理由や必要となる費用の相場、墓じまいの手順や必要な手続きも併せて確認し、不安を解消した上でお墓の整理を行いましょう。
目次
1. 墓じまいとは?
墓じまいとは、現在のお墓を解体し、墓石などを撤去して更地にした上で、墓地管理者に土地や使用権を返すことを言います。
お墓を解体する場合、お墓に納めていた遺骨を別の形で供養する「改葬」が並行して行われることが一般的です。そのため、「墓じまい」には墓石の撤去だけでなく、改葬という意味も含まれることを押さえておきましょう。
墓じまい後の供養方法としては、アクセスの良い一般墓への改葬や手元供養、散骨、納骨堂などでの永代供養が挙げられます。最近はさまざまな供養方法があるため、それぞれの家庭の事情や故人に合った供養の方法を選びましょう。
1-1. 墓じまいをする方が増えている理由
最近ではさまざまな事情により、墓じまいを選択する方が増えています。厚生労働省によると、2022年度の改葬件数は15万1,076件であり、10年前(2012年度)の約1.9倍になっています。このように、墓じまいを選ぶ方が増えた背景として、次のような理由が考えられます。
【墓じまいをする方が増えている理由】
● お墓の後継者がいない
● お墓参りが難しい状況になった
● お墓の維持・管理にかかる負担を減らしたい
● お墓に対する価値観が変化している
少子化が進む現代では、お墓の後継者がいない家庭も少なくありません。また、お墓を管理する方が高齢であったり、お墓のある地域から離れた場所に暮らしていたりするなど、お墓参りが難しくなったケースも多く見られます。
さらに、昨今の価値観の変化・多様化に伴い、お墓や供養方法についても多様な選択肢が登場しています。負担の少ないお墓・供養方法を選べるようになったことも、墓じまいを選ぶ方が増えた理由の1つと言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%94%B9%E8%91%AC&layout=dataset&stat_infid=000040111952)
(出典:厚生労働省「平成24年度衛生行政報告例」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%94%B9%E8%91%AC&layout=dataset&stat_infid=000023598438)
2. 墓じまいのメリット3つ&デメリット2つ
墓じまいをすることには多くのメリットがありますが、デメリットや気を付けておきたいポイントがあることにも注意が必要です。墓じまいを検討する際には、メリットとデメリットの両面を考慮した上で進めるようにしましょう。
ここでは、墓じまいを行う3つのメリットと2つのデメリットについて紹介します。
2-1. メリット(1)お墓の維持や管理にかかる負担を軽減できる
墓じまいを行う大きなメリットとして、お墓の維持・管理にかかる負担を軽減できることが挙げられます。お墓を維持・管理するためには、清掃など身体的な負担だけでなく、年間使用料や檀家料といった金銭的な負担も発生します。墓じまいをして管理しやすい供養方法に改葬すれば、負担を大幅に軽減できるでしょう。
また、自分だけでなく、継承者となる子どもや孫の負担を減らせることも大きなポイントです。お墓の継承に関する悩みも少なくなるため、精神的な負担も軽減できるでしょう。
2-2. メリット(2)無縁墓となる心配がなくなる
無縁墓となる心配がなくなることも、墓じまいを行うメリットの1つです。
自分の死後にお墓を管理する後継者がいない場合、お墓が放置されることになり「無縁墓」と判断される恐れがあります。無縁墓となってしまうと、自分を含む先祖の供養ができません。また、放置されたお墓が倒壊するなどのリスクも考えられるでしょう。
自分の代で墓じまいを行えば、無縁墓となるリスクを考える必要がなくなります。今後の供養や周囲への迷惑について心配せずに済むため、精神的な負担を軽くすることができるでしょう。
2-3. メリット(3)改葬によって供養がしやすくなる
改葬により、供養がしやすくなることも大きなポイントです。自宅や職場、公共交通機関の駅などからのアクセスが良い場所にお墓を移せば、お墓参りもしやすくなるでしょう。
「少子化」「維持管理の負担」などネガティブな理由で墓じまい・改葬を行うことがほとんどですが、改葬にはお墓参りの環境を整えるといったポジティブな面もあります。前向きな気持ちで供養できるようになることも、墓じまいの大きなメリットと言えるでしょう。
2-4. デメリット(1)親族とのトラブルが発生する可能性がある
メリットも多い墓じまいですが、親族に相談せず勝手に進めてしまった場合、親族間でトラブルが発生する可能性があることに注意が必要です。
墓じまいを進める際には、事前に親族と相談することが大切です。「墓じまいの費用は誰が負担するか」「納骨先をどこにするのか」などの意見を一致させた上で、墓じまいを進めましょう。
親族との話し合いがまとまらない場合、金銭的な負担が問題なければ、先祖代々のお墓を残しつつ、新たに供養がしやすい近くのお墓を持つという選択肢もあります。
2-5. デメリット(2)一時的な金銭的負担が発生する
墓じまいは将来の金銭的負担を軽減できるというメリットがある一方で、墓じまいを行う際に金銭的負担が一時的に発生するというデメリットもあります。書類手続きなどの手間も必要となるため、予算やスケジュールに余裕をもって墓じまいを進めるとよいでしょう。
3. 墓じまいにかかる費用の相場
墓じまいにかかる費用は、現在のお墓の状況や改葬先によって大きく異なりますが、全体の費用目安としては約30万~300万円と、価格幅が大きいことが特徴です。
ここでは、「既存のお墓の撤去」「行政手続き・書類取得」「改葬先」でそれぞれ必要となる費用の内訳や金額の目安を紹介します。
【「既存のお墓の撤去」に関する費用】
項目 | 費用の目安 |
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解体・撤去工事費用 | 約10万~15万円 (1平方メートルあたり) |
離檀料 | 無料~約20万円 |
お布施代 | 約3万~10万円 |
【「行政手続き・書類取得」に関する費用】
項目 | 費用の目安 |
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書類の交付費用 | 数百円~1,500円程度 |
【「改葬先」に関する費用】
項目 | 費用の目安 |
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新たな納骨先での納骨・開眼法要費用 | 約5万~250万円 |
お布施代 | 約3万~10万円 |
上記の内訳から、改葬先に関する費用が墓じまい全体の費用に大きな影響を及ぼしていることが分かります。家族・親族とよく相談し、予算を十分に検討した上で墓じまいの方針を決定しましょう。
4. 墓じまいの手順と必要な手続き
墓じまいをスムーズに進めるためには、墓じまいの流れやそれぞれのステップで必要な手続きを事前に確認しておくことが大切です。ここでは、墓じまいの手順や必要となる手続きについて、各ステップごとに解説します。
墓じまいの主な手順と必要な手続き |
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【STEP1:親族に相談して同意を得る】 墓じまいを行う際には、親族間でのトラブルを未然に防ぐため、事前に十分話し合うことが大切です。費用の負担や供養方法についてよく相談し、同意を得ておきましょう。 【STEP2:墓じまい・改葬に必要な手続きと書類を確認する】 【STEP3:墓地の管理者に墓じまいの相談をする】 【STEP4:新たな納骨先を決める】 【STEP5:改葬許可証を取得する】 【STEP6:閉眼供養を行い遺骨を取り出す】 【STEP7:墓石の解体・撤去工事を行う】 【STEP8:新たな納骨先に遺骨を納める】 |
まとめ
墓じまいとは、既存のお墓を解体して墓地の管理者に土地や使用権を返還することであり、遺骨を新たな納骨先に移す「改葬」の意味を含む場合もあります。墓じまいや改葬を行う場合は、メリット・デメリットをふまえた上で、費用や手続きについて十分に検討・確認し、親族と話し合いながら進めることが大切です。
墓じまい後の新たな納骨先・供養方法にはさまざまな種類がありますが、お墓参りのしやすさを考えると、参拝環境やサポートが整備された納骨堂がおすすめです。公共交通機関でのアクセスが良好で永代供養も可能な納骨堂「了聞」にぜひご相談ください。