葬儀保険(終活保険)とは?メリット・デメリットと選ぶ際のポイント

この記事を書いた人

「終活」という言葉が広く浸透しているように、老後や人生の最期に向けた準備は、今や多くの方が意識する時代になりました。なかでも葬儀に関する備えは、「家族に迷惑をかけたくない」という思いから特に関心を集めています。
こうした背景のなか注目されているのが「葬儀保険(終活保険)」です。万が一に備えて資金を準備できる葬儀保険は、手頃な保険料や手続きの簡単さから、高齢者を中心に支持を集めています。
そこで今回は、葬儀保険の基本的な仕組みや種類からメリット・デメリット、さらに保険を選ぶ際にチェックしておきたいポイントまで分かりやすく解説します。
目次
1. 葬儀保険(終活保険)とは?
葬儀保険とは、少額短期保険の一種であり、万が一の際にかかる葬儀費用に備えるための保険です。「終活保険」と呼ばれることもあります。契約者本人が亡くなった後に保険金が支払われることで、遺された家族の金銭的な負担を軽減することが主な目的です。
葬儀保険の保障内容は一般的な生命保険と違って葬儀費用に特化しており、保険金は数十万円〜100万円前後と比較的少額です。そのぶん毎月支払う保険料も手頃で、年齢や健康状態にかかわらず加入しやすい商品が多いことも特徴となっています。
また、葬儀保険には大きく「保険金定額型」と「保険料一定型」の2種類があります。ここからは、各種類の概要と特徴を詳しく紹介します。
1-1. 種類(1)保険金定額型
保険金定額型とは、契約時に決めた金額(例:30万円・50万円など)の保険金が、被保険者の死亡時に支払われるタイプの葬儀保険です。毎月支払う保険料は加入年齢などによって決まり、一定ではありません。基本的に年齢が高いほど保険料が高くなるほか、契約更新ごとに保険料も上がります。
保険金額が固定されているため、将来に向けた計画を立てやすく、「自分の葬儀に必要な分だけ備えておきたい」という方に向いています。一方で、加入時の年齢や健康状態によっては保険料が高くなる場合があるため、早めの検討がポイントになります。
保険金 | 一定 (契約時にあらかじめ決めた額となる) |
---|---|
保険料 | 年齢や契約年数によって異なる (年齢が上がるにつれて高くなる) |
1-2. 種類(2)保険料一定型
保険料一定型は、契約時に定められた毎月の保険料が年齢に関係なく一定となるタイプの葬儀保険です。死亡時に設定された金額の保険金が支払われる仕組みであり、被保険者の年齢が上がるにつれて受け取れる保険金が減ります。
保険金額は比較的少額に設定されていることが多いものの、加入時の年齢にかかわらず保険料が変わらないことから、特に高齢者にとっては家計の負担を抑えやすいのが魅力です。「あくまで葬儀の足しになれば十分」と考える方に適しています。また、医療審査が不要のものも多く、持病がある方でも加入しやすいのも特徴です。
ただし、支払う期間が長くなればなるほど、結果的に総支払額が保険金額を上回るケースもあるため、加入前には「何歳まで保険料を支払うのか」を確認しておくと安心です。
保険金 | 年齢によって異なる (年齢が上がるにつれて減る) |
---|---|
保険料 | 一定 (契約時にあらかじめ決めた額となる) |
2. 葬儀保険のメリット
葬儀保険は、万一の場合に備えて安心を得られるだけでなく、多くの実用的なメリットがあります。
ここからは、特におさえておきたい葬儀保険のメリットを3つ紹介します。
2-1. 年齢や健康上の問題に関係なく加入できる
葬儀保険の大きな特徴の1つは、加入時の年齢制限や健康診断の条件が比較的緩やかであることです。
多くの商品が高齢者や持病のある方でも加入できるため、一般的な生命保険で加入を断られた方でも検討しやすくなっています。
そのため、幅広い世代の人が「終活」の一環として早めに備えることが可能です。
2-2. 一般的な生命保険に比べて保険料が安い
葬儀保険は保障内容が葬儀費用に特化しているため、一般的な生命保険よりも保険料が手頃です。
数十万円程度の保険金を準備するだけと月々の負担が軽く、高齢になってからの加入でも無理なく続けられます。家計への影響を最小限に抑えながら万が一の場合に備えられるという点は、多くの方にとって魅力となるでしょう。
2-3. 保険金の支払いが早い
葬儀保険は、被保険者が亡くなった後、比較的短期間で保険金が支払われる仕組みが整っています。
葬儀費用は急に必要となるため、早期の資金確保は精神的な安心にもつながります。葬儀にかかる突然の出費にもすぐ対応できる葬儀保険は、遺された家族の経済的・精神的負担を大きく軽減する心強い備えとなるでしょう。
3. 葬儀保険のデメリット
葬儀保険は多くのメリットがある一方で、加入前に知っておきたい注意点やデメリットも存在します。
葬儀保険選びで後悔しないためにも、どのような点に気をつけるべきか確認しておきましょう。
3-1. 解約返戻金のない掛け捨て型が主流となる
葬儀保険の多くは掛け捨て型で、解約返戻金がほとんどないことが一般的です。つまり、途中で解約した場合にはこれまで支払った保険料が戻ってきません。そのため、掛け捨てのリスクを理解した上で加入する必要があります。
万が一短期間で解約してしまうと、支払った保険料が無駄になる可能性があるため、加入期間やライフプランをよく考慮しておくことが大切です。
3-2. 加入年齢によっては保険料が上がる・保険金が下がる
葬儀保険の保険料や保険金額は、加入時の年齢によって大きく変わります。一般的に高齢で加入すると保険料が高くなるケースが多いほか、一定年齢以上になると加入できる保険金額に制限が設けられる場合もあります。
そのため、必要な保障を確保するためには早めに加入することが望ましいとされています。
3-3. 加入期間が長期化すると支払総額が保険金額を上回る
保険料一定型の葬儀保険の場合、毎月一定の保険料を支払い続けるため、長期間加入し続けると総支払額が最終的な保険金額を超えてしまうことがあります。
毎月数千円の保険料を何十年も支払い続けると、支払った総額が葬儀費用の目安となる保険金を上回る場合があるため、コストパフォーマンスをしっかり検討した上で加入保険を選ぶことが大切です。
4. 葬儀保険を選ぶときのポイント
葬儀保険は商品によって保障内容や保険料の設定が異なるため、下記のポイントを事前にしっかり確認しておくことが重要です。
● 保険金はいつ支払われるか
● 保障が開始されるタイミング(責任開始期)はいつか
● 毎月の保険料は無理なく支払える金額か
葬儀保険を選ぶときは、まず「自身が想定している葬儀費用に見合った保険金額が設定されているか」を確認しましょう。
また、保険金の支払時期は保険会社によって異なるため、迅速な支払いが可能かどうかも重要な判断材料です。加入してすぐに保障が始まるわけではなく、一定の待機期間がある場合もあります。長期的に支払いが継続できるかを確認し、自分の家計に合った無理のないプランを選びましょう。
まとめ
葬儀保険は、将来の葬儀費用に備えるための保険であり、残された家族への経済的負担を軽減する有効な手段の1つです。年齢や健康状態に関係なく加入しやすく、比較的手頃な保険料で早期に保険金が支払われるなど、多くのメリットがあります。
一方で、掛け捨て型が多く、長期的に見ると支払総額が保険金額を上回る場合があるなど、注意すべき点もあります。自分に合った保障内容か、保険金の支払時期や開始時期、無理のない保険料かどうかを十分に確認することが大切です。
将来に備えた安心を手に入れるために、自分のライフプランに合った葬儀保険をじっくり選んでみてはいかがでしょうか。