身寄りがない方に潜む老後のリスク|老後を迎える前にできる対策5選
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高齢化や核家族化などの影響で、身寄り問題を抱える方が増えています。近年、身寄りがない高齢者は「おひとりさま」と表現されることがあります。身寄りがない方の中には、病気やケガへの不安を抱えている方もいることでしょう。
老後の不安を軽減して対策を講じるためには、身寄りがない状態にどのようなリスクがあるのか知っておくことが大切です。
今回は、いざというときに頼れる身寄りがない方に潜む老後のリスクについて解説します。老後を迎える前にできる対策も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 【項目別】身寄りがない「おひとりさま」に潜む老後のリスク
身寄りがない方の中には、夫または妻に先立たれて1人で暮らしているというケースが多く見られます。子どもがいない夫婦の場合、配偶者に先立たれると老後は「おひとりさま」になる可能性が高くなります。
近年は婚姻率の低下が加速しており、おひとりさま予備軍が増えているのが現状です。あえて独身を選択し、誰とも同居せずに1人で暮らすおひとりさまも増えています。
自らおひとりさまを選択する方が増えている一方で、高齢化社会が加速する日本において身寄り問題も多く取りざたされています。
身寄りがないおひとりさまは、親族・家族などのいざというときに頼れる身寄りがいないままで老後を迎えるリスクを知っておくことが大切です。
そこでまずは、身寄りがないおひとりさまに潜む老後のリスクを項目別に解説します。
1-1. 生活に関するリスク
身寄りがないまま老後を迎える場合は、生活面にさまざまなリスクを伴います。
生活に関する主なリスクは、以下の通りです。
●病気・事故・死亡の発見が遅れやすい
身寄りがないおひとりさまは、病気や事故の発見が遅れやすい傾向にあります。
認知機能の低下による徘徊や行方不明は、高齢者に起こり得る深刻な問題です。排泄のトラブルや火の不始末、薬の飲み忘れなども防ぎにくくなります。最悪の場合は、死亡の発見が遅れるリスクもあります。
家族と同居していれば早い段階で体調の変化に気付いてもらえますが、身寄りがないと気付いてもらいにくくなります。
●詐欺被害に遭いやすい
認知機能が低下すると、金銭管理が難しくなったり詐欺に遭ったりするリスクが高まります。怪しい話を持ちかけられた場合、相談したり止めてくれたりする人が周りにいなければ正しい判断ができず被害に遭う可能性が高くなるでしょう。
1-2. 医療・介護に関するリスク
頼れる家族や親族がいない場合、医療・介護の面でもリスクを伴います。
医療・介護に関する主なリスクは、以下の通りです。
●入院・入居時に、身元保証人やその役割を果たしてくれる人を見つけられない
身元保証人やその役割を果たしてくれる人が見つからないと、病院や介護施設の利用時に支障をきたす場合があります。
病院や介護施設では、「緊急連絡を受けて重要な意思決定支援を行い、かつ最終的な身柄の引き取りを行える権限者の指定」を入院・入居時の条件とするケースがほとんどです。中には身元保証人なしでも入居できる施設もありますが、競争率が激しく必ずしも利用できるとは限りません。
●支払い能力がなく適切な医療・介護を受けられない
医療や介護を受けるためには、医療費やサービス料などを支払う能力が必要です。万が一支払いが滞ってしまえば、病院や介護施設は未収金を抱えることになります。本人に支払い能力がなかったり支払いを支援してくれる人がいなかったりする場合は、適切な医療や介護を受けられない可能性があるでしょう。
1-3. 葬儀・お墓に関するリスク
身寄りがない方は、亡くなった後に問題が起こったり遺志とは異なる対応がとられたりする可能性があります。
葬儀・お墓に関する主なリスクは、以下の通りです。
●遺体の引き取り人がいない
遺体の引き取り人がいない場合、遺体の取り扱いは自治体に一任されます。火葬は市区町村が行うものの、遺品整理は対応してもらえないため注意が必要です。賃貸物件に住んでいる場合は大家さん、介護施設に入居している場合は施設側が遺品整理にかかる費用を負担することになります。
●無縁墓にまとめて埋葬される可能性が高い
火葬を行った後は、市区町村が一定期間遺骨を管理します。最終的には、無縁墓にまとめて埋葬されるケースがほとんどです。無縁墓とは、供養してくれる親族がいない故人が眠るお墓です。樹木葬や海洋散骨などを希望していても、思い通りにならない可能性が高いでしょう。
1-4. 相続に関するリスク
身寄りがないおひとりさまは、遺産相続についても考えておく必要があります。
相続に関する主なリスクは、下記の通りです。
●意図しない財産承継が行われる
本来、亡くなった方の財産は配偶者や子供、兄弟姉妹が相続します。関係が断絶している親族でも、法定相続人の場合は財産を受け取る権利が発生します。法定相続人が誰もいない方が亡くなった場合の財産は、最終的に国庫に帰属する決まりです。
第三者への財産継承や団体への寄付を希望する場合、意図しない財産継承が行われる可能性があるでしょう。
2. 身寄りがない方が老後を迎える前にできる5つの対策・備え
身寄りのない方が老後の不安をできるだけ軽減するためには、事前に対策を講じておくことが大切です。
ここでは、老後に困らないためにやっておくべき対策・備えを5つ紹介します。
2-1. 人とのつながりをつくる
病気や事故の早期発見ができるように、人とのつながりをつくっておきましょう。様子の変化に気が付いてもらえることはもちろん、万が一自宅で亡くなった場合に発見してもらえる可能性が高くなります。
老後の不安を聞いてもらったり相談したりできる存在がいることは、大きな安心につながります。地域のコミュニティに積極的に参加したり、近所の人との関わりを持ったり、孤立しないための対策を講じておきましょう。
2-2. 高齢者等終身サポートサービスを利用する
入院や介護施設の入居時に困らないように、高齢者等終身サポートサービスを利用するのもおすすめです。高齢者等終身サポートサービスとは、親族に代わって日常生活の支援から身元保証、死後事務といった各種手続きを代行するサービスサービスで、民間事業者などが提供しています。
費用はかかるものの、緊急時の連絡先に指定したり葬儀や死後事務を行ってもらえたりするため、いざというときに安心です。費用や保証内容は契約先によって異なるため、複数のサービスを比較して検討しましょう。ただし、身寄りのない高齢者を狙った悪質な事件も同時に発生しているので、委託する先の選定は慎重にする必要があります。
2-3. 高齢者向けの「備えのための各種制度」を把握する
高齢者が将来のために備えておける制度はさまざまあります。適切な判断ができるうちにどのような制度があるのか把握しておきましょう。
高齢者向けの「備えのための制度」の具体例は、下記の通りです。
任意後見契約 | 指定した法律行為を代理してもらえる後見人を、事前に予約しておく契約 |
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死後事務委任契約 | 火葬・納骨、遺品整理、その他の死後の事務を委任するための契約 |
任意後見契約を締結しておくことで、将来認知症になったときなどには契約に基づいた内容を代行してもらえます。判断能力が低下した場合に、財産管理や各種手続きを任せることが可能です。
葬儀や遺品整理などの手続きを委任したい場合は、死後事務委任契約を締結しておきましょう。
2-4. 生前墓を検討する
希望する葬儀や納骨方法がある場合は、生前墓の準備を検討しましょう。葬儀や納骨方法を決めて準備をしておくことで、生前の希望に沿った形で最期の見送りをしてもらえます。
近年、終活の一環として生前に葬儀社の決定をしておく人が増えています。さまざまな葬儀スタイルや納骨方法があるため、納得のいく形を選べるように情報を集めておくことが大切です。
事前見学に対応している寺院・霊園もあるため、実際に足を運んで雰囲気を確認しておきましょう。
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2-5. 遺言書を作成しておく
意図しない財産承継を防ぐには、遺言書の作成が効果的です。遺言書は、自分の財産を誰にどのように相続させるかの遺志を示す書類です。遺言は法定相続分に優先するため、遺言書の内容に沿って財産の分け方が決められます。
ただし、作成方式に問題があると遺言書が無効になるおそれがあります。「第三者に財産を相続させたい」「団体に寄付をしたい」など、財産の分け方に希望がある場合は、適切な方法で遺言書を作成しておきましょう。
まとめ
身寄りがない「おひとりさま」には、日常生活だけでなく医療・介護・相続などにも老後のリスクが伴います。身寄りがない方が亡くなった場合、無縁墓にまとめて埋葬される可能性もあります。最期は理想のお墓で眠りたいという思いがある方は、生前墓を検討しましょう。
納骨堂「了聞」では、生前予約も承っております。提携先大手葬儀会社や、生前の身元保証から死後事務まで終身サポートのセットプランも提供しており、葬儀から納骨のワンストップ対応も可能です。永代供養墓での供養も行っているので、お墓の後継者がいない方でも安心です。老後の不安を少しでも解消したい方は、お気軽にご相談ください。